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tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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田中利典師の舞台挨拶(歌舞伎奉納公演 on 蔵王堂特設舞台)

2023年06月01日 | 田中利典師曰く
2011年10月8日(土)~9日(日)、吉野山・金峯山寺蔵王堂の特設舞台で、片岡仁左衛門親子三代による「歌舞伎の舞」の公演があった(吉野芸能祭 金峯山寺奉納歌舞伎)。公演の概要は、こちらのサイトに出ている。
※トップ写真は、蔵王堂遠望(2023.3.31 撮影)

両日とも、田中利典師は、開闢(かいびゃく)の法要と舞台挨拶をされ、それをご自身のブログ(2011.10.10付)にアップされた。2日分の挨拶をまとめて1本で紹介されているが、さすがにカッチリとした良いご挨拶である。以下、全文を紹介する。

松島屋片岡仁左衛門親子三代、蔵王堂でご共演!
昨日とおととい、吉野芸能祭2011・松島屋片岡仁左衛門さん親子三代が蔵王堂で共演して、歌舞伎を奉納するという一大公演が行われ、無事終了。

夕べは折りからの栗名月。孝太郎さんの藤娘、仁左衛門・千之助さんの連獅子が名月の月明かりの下で、見事に演じられました。輝くような素晴らしい舞台でしたね。また歌舞伎がいよいよ好きになりました。

私はというと、二日とも開闢の法要とご挨拶をさせていただきました。めったに1,000人くらいの人の前ではあがらないのに、いろいろと注文をつける人がいて、珍しくあがってしまいました。ちょっと悔しいです。でもまあ著名な方や、関係各位のたくさんの方においで頂けて、大変意義深い、苦労のしがいのある時空を体験できました。本当にありがとうございました。

では恒例の挨拶文原稿を披露します(初日終わって長いから短くしろ、みんなで合掌をしてもらうようにしようか…などいろんな命令や発案が加わったので、二日目は少し内容が違うのですが、初日の長い方をベースに二日分を合成して転記します。)

■歌舞伎奉納挨拶
「ようこそ世界遺産の吉野山へ、修験道の聖地金峯山寺へ。そして吉野芸能祭2011 金峯山寺 奉納歌舞伎の舞台にご来山いただきました。

まず初めに金峯山寺よりのご挨拶に先立ち、みなさまにお願いがあります。ここで、みなさんでご本尊にご挨拶を申し上げたいと思いますので、恐れ入りますが、蔵王堂に向かって、その場でお立ちいただき、しばし、合掌をお願いします。 ~法螺吹奏

ありがとうございます。どうぞご着席下さい。今ほど、行いました法螺の吹奏を以て、今宵の歌舞伎奉納舞台の開式をご本尊にお知らせ致しました。

そもそも、お寺や神社の神域で歌舞伎や能楽などを行うのは、いわゆる伝統古典芸能の原点であります。現代社会はともすると神仏なき時代のごとき様相を体していますが、古来より世の東西を問わず、人間の営みは、常に神仏とともにあり、仕事にしろ遊びにしろ、人は生活の中に神仏をともにしてきました。

天の岩戸の前で踊ったアメノウズメに始まり、神仏を前に奉納されたものが芸能のルーツであり、芸能を通して神仏の存在をビジュアルに、演者も、観客も体感したことが始まりとされています。…そして人が歌舞音曲を楽しむのは、神仏が中心に、人が楽しむのはいわばその余録に預かるようなことであったのです。

さてこの蔵王堂には蔵王権現という吉野山を象徴するご本尊がお祭りされており、1300年にわたり蔵王権現さまへ捧げられた信仰心によって、この地は聖地となってまいりました。

そういった意味では、観客のみなさまには大変申し訳ないのですが、今日の舞台の中心は、皆様ではなく、この蔵王堂に奥深く鎮座ましますご本尊蔵王権現であり、この場に降臨されている諸仏諸神であります。…今宵はご本尊さまとともに、松島屋片岡家三代ご共演という、希なる特別な歌舞伎の夜を、楽しんでいただくことになります。

見上げれば今宵は栗名月。清浄しい名月の月明かりの下、吉野山と蔵王堂が持つ地場のエネルギーと、神仏の威力が、すばらしい歌舞伎の舞台によって、増幅され、きっと今まで経験したことのない大きな感動が繰り広げられるものと確信をしております。お待ちかねのみなさんの前でのおしゃべりはこの辺にして、すばらしい聖地と聖なる時間のひとときをお楽しみ下さい。

聖なる力、神仏の力に満たされた素敵な一夜なることを念じ、また金峯山寺にとっては初となる本格的な歌舞伎の開催に尽力いただいた奈良フェスティバル実行委員会及び奈良県や吉野町そして地元吉野山の関係諸氏に対し深く感謝申し上げ、金峯山寺よりのご挨拶といたします。」

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歌舞伎はしつらえが大がかりなので、経費を含めて、公演するのは大変な関係者の力添えがいることを改めて実感しました。吉野は歌舞伎の題材の宝庫。義経千本桜など、現場でやれる日を期待したいし、そういう可能性を拓いていただいた仁左衛門さんの上演でした。千之助君、かわゆいし、かっこいいし、礼儀正しいし、応援したくなりました。



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