tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

大和川の水質改善率は日本一!

2008年03月31日 | 環境問題
大和川は、日本で最も汚れた川(一級河川のうちで水質ワースト1)という、文字通りの「汚名」で知られている。水質が改善すれば、その度合いに応じて金利を上乗せするという仕組みの定期預金も販売されていて、これも好評のようだ。
http://www.eco.pref.mie.jp/kigyou/taisyou/html/no5_dendo/yamato.htm

しかし私は日頃から「大和川って、そんなに汚いかなぁ」と疑問に感じていた。2007(平成19)年の水質(BOD値)は4.7mg/Lで、これは環境基準レベル(5mg/L)をクリアしている。見た目も悪くない。最近では、アユの遡上が確認されている。
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/071120/env0711202157002-n1.htm

そんな折り、3/29の環境イベント( 第5回 奈良県“暮らし”と“環境”フェスティバル)で、生物学者の谷幸三氏にお目にかかった。
※「第5回 奈良県“暮らし”と“環境”フェスティバル」(ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/b31442380b24e5491425daf5197d70e7

氏は長年、県下の高校で生物の教鞭を執られ、現在は(社)淡水生物研究所理事で、大阪産業大学講師も務めておられる。奈良新聞に執筆されている「家族で楽しむ自然観察」は、連載250回を超えた。身近な自然を自作の図入りで丁寧に解説され、私も愛読者の1人だ。淡水生物に関するご著書も多い。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%92J%8DK%8EO/list.html

疑問を呈すると、氏は「私はね、“大和川は水質改善率日本一の川だ”と言っているんですよ」とおっしゃる。「高度成長の頃は、大和川のBOD値は30mg/Lくらいで、これは糞尿をそのまま垂れ流したほどの数字でした。それが5mg/Lくらいまでに良くなってきた。他の川は6~7mg/Lが4mg/Lに改善した程度です」。30mg/Lから5mg/Lとは、1/6だ。6~7mg/Lから4mg/Lだと2/3程度で、差はとても大きい。
※参考:近畿地方整備局(国交省)資料
http://www.yamato.kkr.mlit.go.jp/YKNET/pr/20080121_2/20080121_2.html
http://www.yamato.kkr.mlit.go.jp/YKNET/pr/20071120/20071120.html

これは分かりやすい話だ。日本全国、どの川も流域の住民・関係者の改善努力や下水道の普及・浄化施設の高度化などで、きれいになってきた。大和川の水質も大幅に改善したが、他の川もきれいになっているので、ランキング的にはドン尻を続けている…。

長年の疑問が解け、また「改善率日本一」というお話を聞かせていただき、自信が湧いてきた。もはや大和川は、汚い川ではない。アユの遡上しているのが、動かぬ証拠だ。

一般に奈良県民は、「自虐ネタ」が好きだ。他府県民が「奈良は良いところですね」というと、わざわざ「いいえ、○○は△△だし、□□も××で困っています」と、わざわざ自県の悪口を言う。私は、京都の人が地元の悪口を言うのを聞いたことがないが、この点は奈良県民も学ぶべきだ。

「奈良にうまいもんなし」という言葉も、もとは謙遜の言い回しだった。ご馳走するとき「奈良はうまいもんなしですので、こんな物しかお出しできませんが」という風に使ったそうで、これは田中敏子氏(若羽学園理事長)から直接伺った。

「大仏商法」もそうだ。もとは、東大寺の大仏という素晴らしい観光資源(いわばキラー・コンテンツ)をうまく使って商売をしている、という「良いお手本」的な意味だった。それを「大仏商法にあぐらをかく奈良はダメだ」と、地元民が言うのは情けない。

何につけても、消極思考では奈良は良くならない。他府県民が羨むコンテンツに充ち満ちたこの県を、積極思考で盛り上げよう!

※写真は大和川の夕暮れ。法隆寺インター北の御幸大橋から撮影(04.10.11)。
コメント (2)
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