tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

まだあるわいな!一切経

2008年03月18日 | 写真
寒の戻りというのか余寒(よかん)というのか、時々寒さがぶり返す。こういう現象を指して「三寒四温」という人がいるが、それは間違いだ。三寒四温は真冬の現象で、冬の季語にもなっている。
※三寒四温(ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/cd8707ccc1ce76a169ccf96af172a85d

3/17付の奈良新聞のコラム「國原譜」(くにはらふ)によれば、奈良には「寒さの果ても彼岸まで、まだあるわいな一切経」という言い回し(伝承歌)があるそうだ。調べてみると「一切経」とはお経そのものではなく、毎年4/8に白毫寺(びゃくごうじ・奈良市白毫寺町)で営まれる「一切経法要」のことだった。「4/8の一切経法要が済むまでは、お互い風邪をひかないよう用心しましょうね」という意味である。

そういえばこのお寺の別名は「一切経寺」で、1月の奈良検定1級にも出題されていた(私は知らなくて、間違えた)。鎌倉時代に西大寺の叡尊が中興し、弟子の道照が宋から一切経を請来した。もとは一切経巻を転読した会式だったが、現在は原本が残っていないので転読はなく、法要だけが営まれている。

かつては多くの人が集まったので、「まだあるわいな…」という言葉も残ったのだ。このお寺は高円山(たかまどやま)山麓の高台にあるので、寒の戻りもさぞキツかっただろう。

「暑さ寒さも彼岸まで」も「お水取りが終わると春が来る」も、月並みだ。「しかしその後にも、寒い日があるで」というところが奈良の奥深さなのだ。
※お水取りが終わると春が来る(ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/c10eefd544eeea08cdce6ae19eb360ee

奈良県民たるものは「暑さ寒さも彼岸まで」と聞きつけたら、「まだあるわいな!一切経」とツッコミを入れてみよう。「それって何?」「実は毎年白毫寺で…」という問答から、奈良のPRが始まる。知れば知るほど、奈良はおもしろい。

※写真は、白毫寺本堂前で05.4.2撮影。背景の白い花は桜ではなく杏(あんず)だ。
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