tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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「人は見た目が9割」とは

2007年01月22日 | ブック・レビュー
関西テレビがやってしまった。「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」(第140回「発掘!あるある大事典II」)で、データのねつ造があったと認めたのだ。
※発覚!「あるある大事典」嘘だらけ(スポーツ報知)
http://news.livedoor.com/article/detail/2988394/

ご存じの方も多いだろうが、1/7(日)にこれがオンエアされるや、スーパーから納豆が売り切れ、その後も品薄・高値安定状態が続いていた。私も意識して何度か納豆を食べたので、腹立たしいことこの上ない。影響は、以前の「にがり」騒動の比ではない。
※「発掘!あるある大事典II」に関するお詫びについて
http://www.ktv.co.jp/070120.html

しかし今日書くのはそのことではない。これも関テレの番組だが、1/21(日)にオンエアされた「“人は見た目が9割”あなたのルックス大丈夫?」の話である。同局のサイトには、こう紹介されていた。

《人は見た目が9割~あなた、見た目で損をしてません?~ 大ベストセラー「人は見た目が9割」をモチーフに、人から受け取る情報のうち、実に93%が「見た目」である事実をもとに、見た目で損をしないためのヒントを紹介します。司会:関根勤 中野美奈子(フジテレビアナウンサー) 出演者:竹内一郎(新潮新書『人は見た目が9割』著者)》

テレビ局に悪意はないだろうが、原著書に問題がある。上記にも出ている「93%が見た目」(原著書 P18)というのは「マレービアンの法則」を根拠にしている。この法則は、「表情」「声」「言葉」の3つが矛盾した場合、人はどれを優先して受け止めるか、ということを説明するもので、限定された状況での実験結果だ。もちろん、その結果でも「93%が見た目」などとは出ていない。

著書の帯には「理屈はルックスに勝てない」とまで書かれているが、これも嘘の上塗りだ。詳しくは、以下をご覧いただきたい。
※「人は見た目が9割」というウソ(ネット新聞に私が書いた記事)
http://www.janjan.jp/culture/0611/0611054147/1.php

『女は見た目が10割』という本もあったが、主観でそう書くのは勝手だ。学問的な根拠があるように見せかけようと、「マレービアンの法則」をこじつけるからウソ本になる。

視聴率最優先・出版部数偏重の弊害が、ここに典型的に現れている格好だ。その一方で、良心的な番組や良書がどんどん駆逐されていく、嗚呼…。

※写真は「もったいないばあさん」。物を大切にしなかったり、食べ物を残したりすると夢に出てくるという。ウソ番組もウソ本も資源の無駄遣いだ、もったいない!(06.10.21 明日香村稲淵で撮影)
コメント
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