TAOコンサル『市民派・リベラルアーツ』

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アンソニーホプキンス、イエーツの詩を読みながら感極まる

2012年07月07日 | イェーツと陶淵明
イェイツは、幼少時を過ごした英国スライゴーの自然と、後半人生での詩作の地であるクール地方の湖や塔をこよなく愛し、アイルランドの原風景の中から多くの詩や戯曲を制作、祖国の文芸復興にも尽力した。この地に古くから伝わる伝承をもとに、ケルトの妖精物語を作り、日本の能にも関心を寄せた。作品は神秘主義的なところもあり、いささか難解であるが、心惹かれる詩人・劇作家である。


そんな訳で、このところ、イェイツのことが頭から離れなかったのであるが、年が明けてテレビを見ていたら、またイェイツが登場した。アンソニー・ホプキンスのトーク番組である。これには驚いた。しかも、なかなか感動的なシーンであった。アンソニー・ホプキンスは、アカデミー賞に輝いた『羊たちの沈黙』や貴族の館の執事のストイックな人生を描いた『日の名残り』など、数々の名演技で評価の高い英国の名優である。私の好きな俳優の一人でもある。これは米国アクターズ・スタジオが主催する俳優・監督のトーク番組であるが、ジェームズ・リプトンのインタビューが絶妙で、人気が高い。

この番組にアンソニー・ホプキンスが出演するというので、楽しみに観ていたのだが、「詩が好きだ」との会話があり、突然、イェイツの話になったので、驚いてしまった。リプトンから「母親の旧姓は?」と聞かれ、「イェイツ」と答えたのだ。祖父の家系が関係あるとのこと。そして、促がされて、詩を朗読し始めた。「イニスフリーの島へ行こう、土と編み枝で家を建てよう、豆を植えミツバチの巣箱を作り、一人暮らそう、・・・」と。そう、なんと、『イニスフリーの島』であったのだ。しかも、ホプキンスは、朗読の途中、感極まって涙する。大勢の聴衆に「すまない」と照れ笑いするが、会場からは割れんばかりの拍手、感動的なシーンであった。クリント・イーストウッドといい、アンソニー・ホプキンスといい、ジョン・フォードといい、私が好きな俳優や監督たちが、こんなにもイェイツを好きとは、・・嬉しいことである。


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