TAOコンサル『市民派・リベラルアーツ』

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アンソニーホプキンス、イエイツの『イニスフリーの島』を語る

2011年01月26日 | 東西の詩人詠みくらべ
 昨年より、このブログに好きな詩人イェイツについて何回か雑文を書いたが、年が明けてテレビを見ていたら、またイェイツが登場した。アンソニー・ホプキンスのトーク番組である。これには驚いた。しかも、なかなか感動的なシーンであった。アンソニー・ホプキンスは、アカデミー賞に輝いた『羊たちの沈黙』や侯爵に仕える執事のストイックな人生を描いた『日の名残り』など、数々の作品における演技で評価の高い英国の名優である。言うまでもなく、私の好きな俳優の一人である。

 これはアクターズスタジオが主催する俳優・監督のトーク番組であるが、司会者ジェームズ・リプトンのインタビューが絶妙で、人気が高い。この番組にアンソニー・ホプキンスが出演するというので、楽しみに見ていたのだが、「詩が好きだ」の会話が流れた後、突然、イェイツの話になったので、驚いた。リプトンから「母親の姓は?」と聞かれ、「イェイツ」と答えたのだ。祖父の家系が関係あるとのこと。そして、詩を朗読し始めた。《・・・イニスフリーの島へ行こう。土と編み枝で家を建てよう、豆を植えミツバチの巣箱を作り、一人暮らそう、・・・》と。なんと、『イニスフリーの湖島』であった。しかも、朗読の途中、ホプキンスは感極まったとみえ、涙をにじませたのである。本人は「すまない」と拳で目頭を押さえながら照れ笑いしたが、会場からは割れんばかりの拍手が湧き起こった。感動的なシーンであった。

 クリント・イーストウッドといい、アンソニー・ホプキンスといい、私が好きな俳優・監督たちが、こんなにもイェイツを好きであったとは、・・感激である。(山下)