TAOコンサル『市民派・リベラルアーツ』

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「歴史に学ぶ人間学」
「僕流ニュースの見方」
「我が愛する映画たち」

僕流ニュースの見方・・東京をどういう都市にしたいのか、夢や展望が見えない都知事選

2016年07月20日 | 僕流ニュースの読み方
いよいよ都知事選も中盤へ。特定の候補者を応援しているという訳ではないが、ひと言。

野党推薦の鳥越俊太郎氏の立候補第一声は都民のガン検診受診率100%であったが、そうではないだろう。そんな個人的体験からの発想ではなく、著名なジャーナリストらしい首都東京への夢と展望を語ってほしかった。参院選で野党が敗北するのを見て立候補を思い立った、安倍首相のことは嫌いだなどとテレビで語っていたが、都知事選の何たるかがわかっているのだろうか。安倍政治に問題があると語るのはけっこうだが、そういう問題意識をぶつけたいのなら国政選挙に出るべきであった。都知事の仕事は、東京をどう構造改革しどういう近代都市に発展させて行くかの戦略の構想と実行である。その後の選挙公報を見ると、選挙参謀からアドバイスがあったのか方向修正しているように見えるが、期待外れの出馬であった。現政権への批判は野党党首に任せておけばいい。

自民・公明推薦の増田寛也氏はいささか迫力に欠ける。いかにも官僚出身らしい配慮ばかりが目に付き、存在感が薄い気がする。そもそもが自民党執行部は、早くから立候補を宣言した小池百合子氏に冷たい対応であった。それも事前根回しがなかったなどというつまらない理由で推薦しなかったようだが、後悔することになるのではなかろうか。ドイツのメルケル首相に続きイギリスのメイ新首相など、世界的に女性活躍の時代到来かも知れない。小池氏は選挙公報に東京大改革宣言を掲げているが、頼もしいではないか。頑張って欲しい。

さて、批判ばかりするのはよくないよね(笑)。仮に僕が立候補するなら、どんな公約を掲げるであろうか。
ニューヨークは世界の政治経済の中心都市、ロンドンは金融やビジネスの中心、パリは文化・芸術の伝統ある都市であるが、東京には特徴がない。いや、食の文化や緑の自然などニューヨークにも負けない美しい都市であると思う。そもそも東京は優れた江戸の庶民文化を受け継いだ都市であり、この東京を本格的な❝庶民文化と観光立国の都市❞に発展させるというのは如何であろう。政府は日本を観光立国にすべく既に取り組んでおり、今年は2000万人の観光客誘致が実現するだろうとのこと。しかし、各国の外国人旅行者数は1位のフランスが8000万人以上、2位がアメリカで、日本は22位だ。観光立国は経済効果も大きく、全力で取り組んでいい施策である。その為には京都や古都にだけに頼るのでなく、東京を魅力的な都市に大改造すべきだと思う。偶々今週は星野リゾートが丸の内に本格的和風旅館を開業したが、こういう民間の動きを支える基盤作りこそ、都の役割と思うのだが・・。

都庁を裏から見る・・何故かどんよりと曇り空だ。
 画像はWebより借用

僕流ニュースの見方・・アベノミクス批判に終始し、経済政策提案なき野党連合

2016年07月10日 | 僕流ニュースの読み方
本日は参院選投票日である。勝敗はまだ不明であるが、盛り上がりに欠ける選挙戦であった。支持政党のことはさて置き、いささか感想を・・。

1、民進党、共産党など4党の野党共闘とは何だったのか。岡田氏や志位氏・小澤氏などが壇上に並んで立つ姿を支持する人は多くないであろう。所詮は選挙に勝つだけの妥協の産物、そんなことで国民の為の政治ができるのだろうか。

2、民進党をはじめ野党はアベノミクスの失敗を叫んでいる。確かにこのところ、日本経済は順調とは言えない。しかし、これは英国のEU離脱に関する国民投票を受けての円高及び株価下落、或いは昨年来の中国経済動向に左右されての結果であり、外部要因によるものである。アベノミクスの第一の矢である金融緩和は円安と資産価格上昇及び有効求人倍率の改善をもたらしている。全ての問題を時の政権の責任とするかのような政党を国民は支持するであろうか。安倍政権の消費税値上げはタイミング的に失敗であったと思うが、これとて、民主党政権時代に意志決定した政策であり、自民党に責任を押し付けることは出来ない。国家財政を考えれば方向は間違っていないのであって、共同して取り組むべきである。

3、問題は第3の矢である成長戦略が機能していないことにあり、規制緩和など本気で取り組む必要がある。また選挙戦の争点にはなっていないが、自民党の原子力発電政策については見直しが必要ではなかろうか。使用済み核燃料への対応は国の危機に繋がりかねない。

毎日新聞WEBより

笛吹川を散策しながら、深沢七郎の作品「笛吹川」や「楢山節考」に思いを馳せる

2016年07月06日 | 我が愛する映画たち
特にここ数年は、高校時代の友人たちとの付き合いが深まり、郷里での旧交を温めている。この4月も武田神社から舞鶴公園・小瀬公園を経て石和温泉へと皆でドライブ。宿泊した石和温泉常盤ホテルから直ぐのところを笛吹川が流れており、朝早く目覚めたので、一人で笛吹川の土手を散策。旅館の前を流れる疎水沿いは桜が満開、少し歩くと桃の花も咲いている。いい気分だ。笛吹川というと、この地出身の深沢七郎のことを思い出す。長野の姥捨伝説を描いた小説「楢山節考」で世に出たが、「笛吹川」も有名である。

笛吹川のもの悲しい枯れススキやヨシの風景

笛吹川は甲武信岳(こぶしだけ)と国師ケ岳(こくしがだけ)に源を発し釜無川に合流、富士川にいたる河川である。笛吹川とは美しい名である。その由来は、かつて鎌倉幕府に追放された日野一族の武将藤原氏の嫡男権三郎が洪水で流された母を偲んで吹いた笛に因んで付けられたらしい。土手から見渡すと冬枯れのヨシやススキが風にそよいで何処か寂しげな風景である。

小説「笛吹川」は、信玄から勝頼に至る武田家の盛衰と共に生きた笛吹川沿いの農民一家の何代かにわたる物語である。生まれては殺されて行く農民たちの無慈悲な運命を土俗的な語りで描いた問題作で、1960年木下恵介監督によって映画化された。出演は高峰秀子・田村高廣。「楢山節考」は今村昌平により映画化されカンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞、年老いた母を背負い真冬の山に捨てに行く悲しい物語だ。
WEB画像より・・木下恵介映画笛吹川

初めての地を訪ね、こうしてその歴史や小説に思いを馳せる、これぞ旅の醍醐味である。