TAOコンサル『市民派・リベラルアーツ』

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アイルランドの詩人イエィツのケルト創作能『鷹の井戸』のこと

2010年10月29日 | 東西の詩人詠みくらべ

 アイルランドの詩人イエイツはケルトの神話や伝説などにも造詣が深く、神秘的な一面を持っていたが、日本の能にも深い関心を持ち、創作能『鷹の井戸』を書いている。

 イエィツの能への関心はフェノロサまで遡ることになる。フェノロサは日本で能楽について研究するが、その死後、夫人が能に関する研究草稿を米国の詩人エズラ・バウンドに届けるのだが、バウンドと親交のあったイエィツは能のことを聞き、おおいなる興味を抱いた。こうして、能の研究をはじめるのだが、『鷹の井戸』を書いて、1917年に出版、その際、ロンドンで上演することになったのである。このケルト能はその後、横道満里雄による翻案新能『鷹の泉』として日本的に完成して行くのだが、そのきっかけを作ったイエィツは凄い詩人である。

 イエィツが書いた『鷹の井戸』の物語とは、・・・ケルトの若き英雄が永遠の泉を求めて、ある井戸に辿りつくのだが、この井戸は滅多に水が湧くことはないという。ところが、そこで井戸を守っていた女が突然激しく鷹の声をあげて震え始め、ついには鷹となって舞いをはじめる。傍らにいた老人がそれを見て、これは水が湧く前兆だという。・・・・・・。そんな不思議な物語だ。(山下)