映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

2020年02月06日 | 映画(な行)

すぐに真相が明かされるようなのだが、しかし。

* * * * * * * * * * * *

世界的ミステリ作家、ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)
85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で行われます。

その翌朝、書斎で遺体となって発見された老作家。
ある人物から依頼を受けた名探偵、ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)が調査に乗り出します。

スロンビーの息子や娘、その家族たち、専属の看護師・・・、
様々な人々の人間関係があぶり出されますが・・・。


ライアン・ジョンソン監督が、「アガサ・クリスティに捧げる」ということで
描かれたオリジナル脚本によるもの。
そのため、画面はどことなくレトロな雰囲気が漂うのですが、
スマホもあるれっきとした現在のストーリー。
ダニエル・クレイグによる名探偵は、007みたいにスタイリッシュではなくて、
南部なまりのオジサン(私には、実のところ聞き分けられてはいないけれど)。
なんだかこの人大丈夫なの?という若干の不安を感じさせながら、
イヤ、実は頭の切れるなかなか食えないヤツなのでした。



しかしこの事件、早々に真相がわかってしまうのです。
こんなに早くに「真犯人」がわかってしまって、大丈夫なのか? 
探偵が犯人をどのように追い詰めていくかという倒叙形式なのか?
・・・などと思って見ているうちに、
次第に事態はなおも混迷に向かい、思いがけない「裏」があったことがわかっていく。
まことに、一筋縄ではいかない、王道のミステリなのでした。
ミステリファンなら、必見。

あまり説明するとネタバレになってしまうけれど、
いかにもスロンビー殺害の動機がありそうな家族たちに引きかえ、
スロンビーの看護師・マルタ(アナ・デ・アルマス)のキャラが実にいい。
彼女は南米移民の娘で、職務熱心かつ実直。
スロンビーを敬愛しています。
そんな彼女をスロンビーもよく理解していた。
まあ、そういうところが発端の話ではあるのです。
そして彼女は、正直者のあまり、嘘をつくとすぐに吐いてしまう・・・。
彼女の造形があまりにも出来過ぎではあるけれど、それもユーモアのうち。
一番怪しくない者が犯人?
まあ、そこのところが見所ですよ。
楽しめました。

<シネマフロンティアにて>
「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」
2019年/アメリカ/131分
監督・脚本:ライアン・ジョンソン
出演:ダニエル・クレイグ、クリス・エバンス、アナ・デ・アルマス、
   ジェイミー・リー・カーティス、マイケル・シャノン、トニ・コレット、クリストファー・プラマー

本格ミステリ度★★★★★
満足度★★★★☆

 

 



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
迷探偵かと思いきや名探偵 (風子)
2020-02-08 22:33:36
ベテランたちの演技力あってこそ、コミカルで笑えて楽しめるミステリーでした。
悪あがきぶりも面白かったです。
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Unknown (たんぽぽ)
2020-02-09 11:14:14
風子さま
コメントありがとうございます。
ミステリの定石を外したような展開で、しかしやっぱり本格ミステリの王道。
面白かったですね。
続編ができるなら、ぜひ見たいです!
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knives  out  (もののはじめのiina)
2020-02-15 09:24:30
屋敷内のナイフがタクサン突き刺さっているモニュメントをを見て唐招提寺の千手観音菩薩立像を連想しました。

そもそも、ナイブズ・アウト(knives  out)は、「複数のナイフが出た状態」という意味であるのだとか。

とても満足できた1本でした。

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Unknown (たんぽぽ)
2020-02-15 19:22:00
iinaさま
最後に犯人がつかむナイフが・・・ああいうものだったというオチも、笑えました。
もしかしてすべてのナイフがああいう作りだったのでしょうか・・・? まさかね。
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