映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

風をつかまえた少年

2020年02月08日 | 映画(か行)

平等な教育の大切さ

* * * * * * * * * * * *


実話を基にした作品です。



2001年、アフリカ最貧国の一つマラウイ。
14歳ウィリアムの住む村は、もとより電気など通じていません。
夜の明かりは灯油を灯すのですが、最近は灯油を買うお金がありません。
そして学校に学費を納めることもできず、退学になってしまいます。
ただでさえそのような暮らしなのに、この年、大干ばつとなります。
わずかに蓄えた食料も盗まれてしまい、いよいよ生命の危機になってきます。
ウィリアムは頭のいい少年で、ちょっとした工夫でものを作ったりするのが好きなのでした。
学校の教師が使っていた自転車のダイナモをみて、思います。

大きな風車で発電ができたら、
ポンプで水をくみ上げて乾期でも作物が育つのではないか?

学校でそのような仕組みを勉強したくても退学となっています。
図書館も本当は利用できないのですが、
司書の先生の計らいで密かに本を読むことができました。
本により自力で学ぶウィリアム。
しかし実行に移そうとしても、父親の理解がなかなか得られず・・・。

学ぶこと、教育の大切さがひしひしと感じられるストーリーです。
特に、今問題となっている教育の格差。
お金がなければまともな教育を受けることができない・・・
というのは、実は社会の損失である、ということに私たちは気づくべきでしょう。
発展途上にある国々にまず必要なのは、最低限の衣食住ではありますが
それはその場しのぎのこと。
国を根本的に作って行くためには、貧富に関わらない平等な教育が必要ですね。
そして、意欲と能力に応じた学びの場。
日本ではもっとしっかりした奨学金の制度。

自ら学びとり、それを工夫して実現させるバイタリティ、実に魅力的な作品です。
本作の映画化を望んでいた俳優キウェテル・イジョフォーが監督も務めています。

マラウイはアフリカ南東部の内陸国。
2001年当時では電気が使えるのは国民の2%程度。
けれど、内乱が起こっていない、アフリカででは珍しい国の一つだそうです。

 

<J:COMオンデマンドにて>
「風をつかまえた少年」
2018年/イギリス・マラウイ/113分
監督:キウェテル・イジョフォー
出演:マックスウェル・シンバ、キウェテル・イジョフォー、アイサ・マイガ、リリー・バンダ

学ぶ意欲度★★★★★
創意工夫度★★★★★
満足度★★★★★

 



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2 コメント

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教育は大切 (風子)
2020-02-08 22:42:31
義務教育があり、給食があり、誰でも利用できる図書館がある日本に生まれ育ってよかったなと思いました。
それにしても、独学でこんな事を成し遂げてしまうのには驚きました。
この熱意と努力には、頭が下がります。
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Unknown (たんぽぽ)
2020-02-09 11:08:21
風子さま
教育はこのように子どもたちの未来を切り開き、やがて国の未来にもつながるのですね。
私にも、大好きな作品となりました。
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