映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

キセキの葉書

2024年09月04日 | 映画(か行)

毎日綴り続けた家族の葉書

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兵庫県西宮のマンモス団地。
夫と小学生の息子・勇希、5歳の娘・望美と暮らす38歳原田美幸(鈴木紗理奈。)
その望美は脳性マヒで寝たきり、話すこともできません。
美幸は夜もろくに寝ることができない娘の介護で、心のバランスが崩れかけています。

でもある時、自分が娘の病気のせいで不幸になったと思い込んでいたことに気づきます。
そんなことに囚われてはいけない・・・と思う美幸。
そこで、昔からの夢だった児童文学作家への道に進もうと決意。
美幸は少しずつ物語を書き始めます。

しかしまたそんな時に、故郷大分で暮らす65歳の母・喜子が、
認知症とうつ病を同時に発症したことが判明。
困り果てた父が美幸に助けを求めますが、
美幸は美幸で逆に助けがほしいという状況。

やむなく、ほんの少しでも母の気持ちが和むようにと、
母に向けて毎日1枚、自分の日常の面白い出来事に少しの絵を加えて
葉書を出し続けることにしたのです。

・・・と、これが実話をもとにしているというのにビックリ。
絵葉書は通算5000通にも及んだそうです・・・。

 

娘の脳性マヒのこと、母親の認知症とうつ病のこと。
それは変わらないのですが、美幸さんの心の持ち方だけで、
不幸のどん底という状況が変わってくるのですね。
しかも、まさか!母親の症状が・・・。
やはり笑いは心身の健康に効果がありそうです。

娘は生きているだけでキセキ。

望美がいなければ私たちは知らないことばかり。

望美は私たちの先生。

 

こうした気づきが、日々の生活に勇気を与えます。
そして、娘のことばかりに囚われずに、自分のやりたいことにもチャレンジ。
気持ちが負のドツボにはまらないことも大切。

ところで、ここの夫さんも育児には協力的なのですが、
なんと海外赴任が決まってしまい、家の状況からあきらめようとしたのですが、
美幸さんが夫の仕事のやりがいの為にあえて、行くようにと促したのです。

そしてまた、息子、勇希くんも、母が妹にばかり注目していることにいじけたりもせず、
実にしっかりと母を支えている。
これは間違いなく親の育て方が良かったんですよね・・・。
スバラシイ。

そして、勇希くんや美幸さんの思考がポジティブなのは、
関西人の力かも知れない、なんて思ったりして。

ユーモアにあふれた絵はがきは、
やはり関西の方ならではという気がします。

ステキです。

<Amazon prime videoにて>

「キセキの葉書」

2017年/日本/90分

監督:ジャッキー・ウー

原作:脇谷みどり

脚本:仁瀬由深

出演:鈴木紗理奈、八日市屋天満、福富慶士郎、申芳夫、赤座美代子

家族愛度★★★★☆

ポジティブ度★★★★★

満足度★★★★☆



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