映画と本の『たんぽぽ館』

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箱入り息子の恋

2014年04月20日 | 映画(は行)
題名に惑わされるなかれ



* * * * * * * * * *


本作は、この題名でなんとなく
「マザコンでぼんやりの息子が初めての恋に落ちた・・・」
みたいな内容を想像していたのですが、偏見は良くなかった。
想像とはかなり違いました。


彼女いない歴35年、35歳独身の天雫(あまのしずく)健太郎(星野源)。
市役所勤務。
内気で真面目。
人付き合いが苦手。
趣味は貯金。
友人は自宅で飼っているカエル一匹。
5時に帰宅して自室にひきこもりTVゲームをするだけの毎日。
このいかにも冴えない息子の有り様に、
さすがに両親が焦りだした。
そこでお見合いを仕掛けるのですが、
相手の女性菜穂子(夏帆)は、目が不自由だったのです・・・。
二人の出会いが単に「お見合い」の席なのではなくて、
その前にあるエピソードが効いていました。

 


健太郎は自分がサエないことを十分に自覚しており、
恋愛も出世も・・・つまり人生を投げていたのですね。
超内気なので、人にまっすぐ目を向けて話すことができない。
けれども恋をすることによって彼自身も少しずつ変わっていきます。
彼にとって彼女の目が不自由なことは「障害」ではなく、
ただひとつの個性にしか過ぎない、というような自然な振る舞いが心地よい。



周りの人々の描写もまたいいですねえ。
「オレがこのボスに勝つことができたら、見合いをしろ!」と息子に迫り、
初めての格闘ゲームに挑む父親。
不思議に人懐っこくはすっぱで、健太郎を応援する職場の同僚。
(ここでややこしい三角関係になるのかと思えば、そうならないところがまたいい)。
息子に呆れながらもやっぱり「母親」の顔を覗かせる、お母さん。(森山良子!)



15年間、一度も休みをとったことがない健太郎が、
上司に早退を申し出るシーンには思わず笑ってしまいましたが、
泣かされるシーンもありますよ~。
生きることに不器用な健太郎に、思わずエールを贈りたくなります。


箱入り息子の恋 DVDファーストラブ・エディション
市井昌秀
ポニーキャニオン


「箱入り息子の恋」
2013年/日本/117分
監督:市井昌秀
出演:星野源、夏帆、平泉成、森山良子、大杉漣、黒木瞳

初々しさ★★★★☆
オタク度★★★☆☆
満足度★★★★☆


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