映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

舟を編む

2014年04月22日 | 映画(は行)
いざ、言葉の大海原へ



* * * * * * * * * *

本作は、三浦しをんさんの原作を非常に面白く読んだので、
見るまでもないと思い、見ていなかったのですが、
日本アカデミー賞受賞作となればやはり見ないわけにも行きますまい・・・。



玄武書房の営業部に居た馬締(まじめ)(松田龍平)は、
新しい辞書「大渡海」を編纂する辞書編集部に引きぬかれます。
もともと言語学を学んでおり、真面目一筋の彼にはまさにピッタリの仕事だったのですが、
しかし、彼には人とのコミュニケーション能力が欠如していた!!
しかしそこは、この部署の先輩格、西岡(オダギリジョー)に呆れられ、導かれながら、
馬締は「言語の大海原」へ漕ぎだしたのでした・・・。
そして、香具矢という女性との出会い。
彼女に心惹かれながらも、伝える言葉が見つからない彼は・・・。


多くの言葉を扱う仕事をしていながら、実際にその言葉を使えないという馬締が、
周りの人々に支えられながら、次第に自己表現に心を配るようになっていく。
地道に物事を一つ一つ積み重ねていくことの大切さ。
そしてそれをやり遂げた時の充実感。
自己の成長。
お仕事小説の中でも、やはりピカイチのストーリーだと思います。
本作は原作よりもコミカル度を抑えてあるようです。
三浦しおんさんの原作にはもっと勢いがあるのですが・・。
でもまあ、題材が題材ですし、控えめなのが正解かも知れません。
いかにも辛気臭い職場の雰囲気が、映像だと非常によくわかります。
この作業、私なら30分続けたら眠くなるかも。



松田龍平さんの演技も相当抑え気味でした。
これはまあ、馬締がそういうキャラなのでね。
馬締の傑作なラブレターの内容とか、
西岡が辞書編集部の後輩たちに残したメッセージとか、
原作では目玉と思われるところがカットされていたのが残念。

私としては、やはり原作が良くて、
わざわざ映画をみるまでもなかったなあ・・・というのが結論です。
松田龍平さんの馬締は、ぴったりで、全く文句ありませんけれど。
本当に必要な映画化だったのか・・・?
そりゃ、人は集まりますから、必要なのでしょう。
でもみなさん、やっぱり本を読みましょうよ!!

舟を編む 通常版 [DVD]
松田龍平,宮崎あおい,オダギリジョー,黒木華,渡辺美佐子
松竹


「舟を編む」
2013年/日本/133分
監督:石井裕也
原作:三浦しをん
出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、小林薫、加藤剛
キャスティング★★★★☆
満足度★★★☆☆


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2 コメント

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昨年末 (こに)
2014-04-25 15:39:37
実在した辞書編纂を手掛けた方を取り上げたTV番組を見ましたが、しをんさんの世界そのまんまで驚きました。
黒木華さん、この時はあまり目立っていませんでしたね。

私は映画も本を読むような感覚で観てしまいます。
原作関係なく映画を楽しめる、映画の観賞方法を知っている方が羨ましいです。

それにしてもオリジナル脚本による映画が少なくなりましたねぇ。

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オリジナル (たんぽぽ)
2014-04-25 21:19:56
>こにさま
できるだけ、本で読んだ映画作品は見ないでおこうと思ってはいます。でも好きな俳優さんが出ていたり、世間で評判になっていたら、好奇心に負けてみてしまうのですが。
長大な物語が2時間足らずのダイジェスト版みたいになってしまっているのはちょっと悲しいですし・・・。
本であれだけワクワク感や緊張感を体験できるのに、なんでわざわざ映画にしなきゃならないのかな、と思うことも多いですね。
でも映画ならではの魅力が出る場合もあるので、一概に全てダメとも言えませんし・・・。
ただ、安直にベストセラーにあやかろうという場合も多いようです。
オリジナル脚本、そう、それを待ちたいところです。
映画人なら、意地でも自分たちの作りたい映画の脚本から練り上げてほしいものです。
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