映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ベルイマン島にて

2023年05月25日 | 映画(は行)

静かで平和な島で、自分を見つめ直す

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本作の舞台となるベルイマン島は、
スウェーデンの巨匠、イングマール・ベルイマンがロケ地として愛用、
多くの傑作を生み、そして晩年を過ごしたという、
フォーレ島のことを指しています。
映画関係者にとっては、聖地と言ってもいいでしょう。

さてこの島へ、映画監督として認められ始めたばかりのクリス(ビッキー・クリープス)と、
彼女のパートナーである有名監督のトニー(ティム・ロス)がアメリカからやって来ます。
二人は一夏ここに滞在し、創作活動をしようというのです。

実のところ、創作にも互いの関係にも息詰まっている二人。
敬愛するベルイマンが愛したこの島で過ごし、
インスピレーションを得ようと考えたのですが・・・。

作中は、クリスが描く映画のシナリオが劇中劇として同時進行。
クリスはその劇中劇の主人公、エイミーに自己投影し、
自分を見つめ直していきます。

 

静かで美しい島。
あまりにも突き抜けて平和で美しく静かな環境で、
こんなところで私なら逆に仕事などできないような気もしますが・・・。
クリスもそんなところで、なかなか苦戦しているようです。
そして、母に預けておいてきた娘に会いたくて仕方がない・・・。
また、クリスは長くトニーとパートナーとして暮らしてはいるものの、
結婚はしていないのです。

普段の生活を離れて、今までの生活を振り返る。
このままでいたいような、そうでないような。
新たな自分として踏み出したいような、そうでないような・・・。

揺れ動く気持ちが表れる一作。

<WOWOW視聴にて>

2021年/フランス・ベルギー・ドイツ・スウェーデン/113分

監督・脚本:ミア・ハンセン=ラブ

出演:ビッキー・クリープス、ティム・ロス、ミア・ワシコウスカ、
   アンデルシュ・ダニエル・セン・リー

「ベルイマン島にて」

島の美しさ★★★★☆

ゆったりとした時間度★★★★☆

満足度★★★.5



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