分岐する人生
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ピアニストを目指す女性、ジュリアの人生を描きます。
が、その描き方が普通ではない。
些細な偶然や選択の積み重ねで分岐したいくつかの人生を、
平行して描いているのです。
それがつまり、題名の(s)の意味。
一つの物語を生きるジュリアだけではなく、
分岐したいくつかの生を生きる複数のジュリアを描いているわけです。
ピアニストを夢見ていた17歳の秋。
ベルリンの壁の崩壊を知り、友人たちとベルリンへ向かった日。
バスに乗りベルリンへ到着して様々な出会いのあったジュリア。
バスに乗り遅れて、何も起こらずに過ごしてしまったジュリア。
本屋で運命的な出会いがあったジュリア。
出会い損ねてしまったジュリア。
シューマンコンクールで受賞し、ピアニストの道を歩み始めたジュリア。
受賞を逃し、希望の道へ進めなくなったジュリア。
バイクを自分が運転したジュリア。
そうではなかったジュリア・・・。
自分の選択であれ偶然であれ、運命が良い方に転がったりそうでなかったり、
結果が変わってきます。
例えば書店で偶然出会った男性と恋をし、結婚することになったとしても、
人生はそこで終わりというわけではない。
その結婚の末どうなるかはまた別の話。
この物語で最後にこれまでの人生、
あの時こうしていれば、ああしていれば、また違った人生になったのかも知れないと
想像を巡らせるジュリアは、
実は多くの分岐で良くない方へ良くない方へとたどった道の結果ではなかったか。
けれど、彼女は思うのです。
でも今、とても満ち足りて幸せな心地がする。
結局はやはりこの道が正解だったのではないかと・・・。
こんな風に思うと、実際「今」が不満足なことばかりに思えようとも、
先のことは分らない、だからそう悲観することもない・・・
というように思うことも大切なのかな、と思う次第。
<WOWOW視聴にて>
「ジュリア(s)」
2022年/120分/フランス
監督:オリビエ・トレイナー
脚本:カミーユ・トレイナー、オリビエ・トレイナー
出演:ルー・ドゥ・ラージュ、ラファエル・ペルソナス、イザベル・カレ、
グレゴリー・ガドゥボワ、エステール・ガレル
平行世界度★★★★☆
満足度★★★.5
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