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「笑うハーレキン」道尾秀介

2016年04月16日 | 本(ミステリ)
疫病神なんかぶっ飛ばせ

笑うハーレキン (中公文庫)
道尾 秀介
中央公論新社


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経営していた会社も家族も失った家具職人の東口。
川辺の空き地で仲間と暮らす彼の悩みは、
アイツにつきまとわれていることだった。
そこへ転がり込んできた謎の女・奈々恵。
川底に沈む遺体と、奇妙な家具の修理依頼。
迫りくる危険とアイツから、逃れることができるのか?
道尾秀介が贈る、たくらみとエールに満ちた傑作長篇。


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「たくらみとエール」
なるほどウマイことをいいますね。
家具職人、東口は経営していた会社も家族も失い、
今はトラックの荷台で寝泊まりするホームレス生活を送っています。
細々と家具の修理を請負いながらなんとか生活しているのです。
しかも彼には他の人には見えない怪しい存在が見えてしまう。
それはなんと、いわば「疫病神」とでも言うべきもの。
この疫病神に付きまとわれているから、こんな境遇に陥っているのか・・・? 
でも、実はこの疫病神には
もっと戦慄すべき正体が隠されていることが後々わかります・・・。
そんなところへ雇ってほしいと現れたのが謎の女・奈々恵。
感じのよい娘ではありますが、何か秘密の匂いが・・・。
そしてまた、同じ川辺の空き地で親しくしていたホームレス仲間の死体が見つかる。
謎の事件やおかしな出来事が重なっていき・・・。


やはり、道尾秀介作品。
状況は暗いです。
でも、大丈夫。
と言うか道尾秀介作品を読み慣れている方なら想像がつくはず。
 きっと、最後の最後には心がほっこりできる結末が用意されていることを。
・・・もちろん、どのように、というのは皆目見当がつきません。
そこが著者の「たくらみ」なので。
そして、バラバラの登場人物たちが
いつしかチームワークよくまとまっていくのが心地よい。
だから、道尾作品はやめられない。

「笑うハーレキン」道尾秀介 中公文庫
満足度★★★★☆


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