映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

さよならみどりちゃん

2013年11月30日 | 西島秀俊
やっぱりハッピーエンドでは?



* * * * * * * * * *

南Q太コミックの映画化ですね。
それも知らずに観ていたのですが、今それを知ってなんだか納得しましたよ。
ふとしたシーンが、映画なら唐突っぽいところが、
なんだかコミックのひとコマと考えると妙に座りがいい気がするところがあった。
コミックの方も見てみたい感じ。


ストーリーはですね、OLのゆうこ(星野真里)は、
ユタカ(西島秀俊)のことが好きなのですが、
彼は悪びれもせず、みどりという恋人がいると宣言します。
その“みどりちゃん”は、今は沖縄にいるらしい。
というところでも分かる通り、コイツ(ユタカ)は、貞操観念などまるでなく、
女と見れば構わず手を出す調子のいいやつ。
だけど、時折見せる無邪気な表情がゆうこの女心をくすぐると言うか・・・。
「つきあっている」とか、「彼女」だとか、人には紹介してもらえなくても、
ふらっとやってきて共に夜を過ごすだけで十分と、ゆうこは思おうとしていたわけだ。
それで、ユタカにいわれるままにスナックで夜のバイトをはじめたりする。
うーむ、危険だ。
このまま行くと今度はソープか・・・と、危ぶんじゃいました。
まあ、そういう展開じゃなかったのは救いなんだけどね。
相変わらずいい加減なユタカは色々な女と遊んだ挙句、
でもやっぱりゆうこの元へ帰ってくる。
そんなことがうだうだと続いて、
最後についにみどりちゃんがやってきて、ユタカをさらったように思えたのだけれど・・・。
何かを振り切るように、夜を走り抜けるゆうこがいいよねー。
で、一転その後、ハッピーエンドのように思えたけれど・・・
本当の終わりはその後に来る。


でもね、これってやっぱりハッピーエンドのように思う。
え~、そうかな? だって、やっぱり「別れ」じゃない?
つまりね、“みどりちゃん”っていうのは、ユタカにとっては恋人でもなんでもなくて、
つきまとう女性たちに、一定以上の関係を迫られないための歯止めなんだよね。
俺には彼女がいるから、おまえと“恋人”にはなれないよ、
ってことだね。
そう。そうして、ユタカは人に対して「責任」を持つことから逃げているってことだよ。
最後にゆうこのところに帰ってくるといのも、
ゆうこは自分のほんとうの気持ちを隠して、
ユタカに愛の見返りを求めたりしなかったから、というだけのことなんじゃないかな。
あくまでもジコチューで人の気持ちなんかお構いなし。
実際サイテーの野郎でした。
だからさ、こんな男と別れられて、よかった。
ハッピーエンド、ということなんだよ。
うん、なるほどそうだよね。
だから、カラオケで馬鹿騒ぎのエンディングがふさわしい。
星野真里さんが惜しげも無く裸体を晒し、魅力的でした。
西島秀俊さんは・・・、憎まれ役だよねえ。
女たらしのしょうもないヤツと思わせて、実はいいヤツ、
というところを期待してたんだけど、やっぱりダメなヤツでした。
そりゃヤツにちょっと優しい言葉をかけられて、くどかれたら、
どんな女もひとたまりもないわな・・・。
本作、西島さんは適役とは思うけれど、
やっぱり寡黙でストイックなオトコのほうが好きだな~。

さよならみどりちゃん [DVD]
南Q太,渡辺千穂
ハピネット・ピクチャーズ


「さよならみどりちゃん」
2004年/日本/89分
監督:古厩智之
原作:南Q太
出演:星野真里、西島秀俊、松尾敏伸、岩佐真悠子

ゆうこの気持ちの変化度★★★★★
西島秀俊の魅力度★★★☆☆
満足度★★★☆☆


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