映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ビリーバーズ

2023年03月28日 | 映画(は行)

幸福の形とは

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とある無人島。

宗教団体「ニコニコ人生センター」の信徒である、
議長(宇野祥平)、副議長(北村優衣)、オペレーター(磯村勇人)
と呼ばれる3人が、共同生活をしています。

瞑想や見た夢の報告、テレパシーの実験、
メールで送られる指令の実行、本部から送られる荷物の運搬などを、
日々の日課に従いながら生活。
すべては、俗世の汚れを浄化し、安住の地を目指すための修行なのです。

ところが本部からの食料補給が途切れ、指令もあまり届かなくなってきます。
どうやら本部は世間で問題となって、うまく立ちゆかなくなっているらしい・・・。

そんな中、この3人の中で、互いの本能と欲望が露わになってきて・・・。

かなりヤバい感じの新興宗教なのですが、もちろんこの3人は本気。
しかし男女交えて3人というのがいかにもマズい。
3人の中で“性欲は“穢れ”でしかないはずなのですが、
タブーであればあるほど燃えるものではありますね・・・。

元々狂気じみた彼らの行いが、ますます常軌を逸してきます。

そして、本部からの連絡も輸送も途絶え、
二人だけになってしまった副議長とオペレーター。
自身の役割や思想という余分なものがそがれて、
単に一対の男女となった二人の世界は、調和がとれて美しくすら感じられるのです。
彼らの目指す何かが見えたような・・・。

しかし、そんな時もつかの間、
島に本土から教団の幹部や信徒達が乗り込んできます・・・。

 

つまり、この島は教団の実験の地であったワケなのですが・・・。
この宗教を推し進めようとする人々も、それを排除しようとする警察側の人々も、
ただただ醜くおぞましい。

新興宗教の境地も越えて、本来の「幸福」は、
ごくシンプルな姿ですぐ近くにあるものなのかもしれません。

<Amazon prime videoにて>

「ビリーバーズ」

2022年/日本/118分

監督・脚本:城定秀夫

原作:山本直樹

出演:磯村勇人、北村優衣、宇野祥平、毎熊克哉、山本直樹

 

狂信度★★★★☆

満足度★★★.5



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