映画と本の『たんぽぽ館』

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七つの会議

2019年02月14日 | 映画(な行)

グータラ社員、八角の謎

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池井戸潤さん原作の物語は、登場人物たちがあまりにも濃いというか暑苦しいので、
見るのにちょっとひるんでしまうのですが、でも見ればやっぱり面白いですよね。

東京建電営業一課の万年係長・八角(本当はヤスミだけれど、みなはハッカクと呼ぶ)(野村萬斎)は、
会議は居眠り、定時退社、有休消化も怠りなく、グータラ社員として知られています。
ある日、目下の坂戸課長(片岡愛之助)から怠けぶりを叱責された八角は、それをパワハラとして告発。
しかしなぜか主張が通り、坂戸は左遷させられてしまいます。
後任の課長として原島(及川光博)が着任。
原島は八角の動向に不信を感じ、部下・浜本(朝倉あき)とともに、八角の周囲を探り始めます。
次第に明らかになる企業の秘密と闇とは・・・。

本作は原島目線で語られていまして、この及川光博さん、ミッチーの存在には実に癒やされます♡ 
何しろ周りが皆濃いので、彼のごく普通というかむしろ気弱なくらいの佇まいがすごく安心できるのです。
彼が「オニ」かと思う北川(香川照之)のあまりの重圧に、吐き気さえもよおしてしまう。
しかし、企業人としても実に誠実で真っ当なこの人が、
この会社にいてくれて本当によかった~、と思ってしまいます。
また、彼の助手的存在になって助けてくれるのが、社内不倫相手に騙されて退職することにした浜本。
この二人のコンビネーションがまたいい。

八角は以前は超がつくくらいのエリート社員。
しかしある時からすっかりグータラ社員に成り下がってしまった。
その時何があったのか。
そしてまた今、ネジの発注についての八角のあやしい動き。
またそのことを上層部も黙認しているらしい・・・。
いくつかの謎解きを中心に進んでいくストーリーに、引き込まれてしまいます。



予告編にもある野村萬斎VS香川照之のあつーい対決シーン。
けれど意外にもこの二人は同期入社でありライバルであったのが、
ある出来事で道を分かち、しかしその時の苦い思いは共有していたという・・・
完全に正義と悪、勝ちと負けの関係ではない、というところは気に入りました。

様々な企業隠蔽、表沙汰にしたときのその処理費用を思えば二の足を踏むのはわからなくもないですが、
でもその挙げ句に隠蔽がバレてしまったとき、さらなる最悪の事態に見舞われる
・・・ということを胸に刻むべきでしょう。
人命に関わることならばなおさらに。

池井戸潤原作の様々なTVドラマでおなじみの豪華キャストも楽しめて、
やはり一見の価値はあります。


<シネマフロンティアにて>
「七つの会議」
2019年/日本/119分
監督:福澤克雄
原作:池井戸潤
出演:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、朝倉あき

企業の闇度★★★★☆
顔面対決度★★★★☆
満足度★★★★☆