映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

終わった人

2019年02月12日 | 映画(あ行)

夫婦のあり方の多様化

* * * * * * * * * *


本作は、公開時見たいなあと思いつつ、定年退職後の男性の話ということで、
なんだか身につまされそうなので見るのを躊躇していました。

大手銀行の出世コースから外れ、子会社に出向。
そのまま定年を迎えた壮介(舘ひろし)。
仕事一筋に生きてきた壮介は、さっそく時間を持て余し、途方に暮れてしまいます。

妻・千草(黒木瞳)は美容師で、家でボーッとしている壮介を鬱陶しく感じているよう。
壮介はジムに通ったり、カルチャースクールに通ったり、
試行錯誤の上、なんと恋までも体験。
しかしある縁で、壮介はある会社の顧問として勤めることになり・・・。

退職直後の毎日を持て余す感じ、よくわかります。
でも女性よりも男性の方が断然所在なさは大きいですね。
女性は仕事に行かなくても家の中で結構やることがあるし、
友達とのお付き合いもあったりして、そこまでは持て余さない。
でも私は思うのですよね。
こんなふうに時間を持て余してどう過ごそうか悩むなんて、実はものすごく幸運なことだと。
世の中には定年退職したと言っても、
まだまだ別の職を探さなければ生活できないという人だって多いと思いますので・・・。
ところが、この壮介さん、そのままでいれば悠々自適な生活だったはずが、
大変なピンチに落ち込んでいってしまうのです。

ここでは、長く連れ添った妻の思いというのもポイント。
長い結婚生活、本当はもっとやりたいこともあったのです。
そしてこの先、やはりこの夫に「寄り添って」行かなければならないのか?
喧嘩ばかりとか、特に嫌いなところがあるとか、そういうわけでもないのだけれど、
一通り夫と妻の役割を終えたところで、結婚生活の「卒業」があってもいいのではないか・・・と。
こんなところはやっぱり原作者が女性ですよね。
男性ならこうは描かないだろうと思う。
そしてやはり女性なら共感できる。
いや、だからといって私は離婚したいとは思いませんけれど・・・。
それはやはりそれぞれの夫婦、それぞれの思いの中で決めていくべきことなのだろうな。
今後夫婦のあり方はますます多様化していくような気がします。

終わった人 [DVD]
舘ひろし,黒木瞳,広末涼子,臼田あさ美,今井翼
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

<J-COMオンデマンドにて>
「終わった人」
2018年/日本/125分
監督:中田秀夫
原作:内館牧子
出演:舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、臼田あさ美、今井翼、田口トモロヲ

夫婦のあり方を考える度★★★★☆
セカンドライフ度★★★★☆
満足度★★★.5