映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

2019年02月28日 | 映画(は行)

太陽のような、母の愛

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子供の頃から、弱虫でお調子者のサトシ(安田顕)。
中学生の時、白血病で長い闘病生活を送りますが、
いつも明るく優しくパワフルな母親(倍賞美津子)の支えにより乗り越え、健康を取り戻します。
ある日、そんな母が、がんの告知を受けます。
母が回復するように、お百度参りや野菜ジュースづくり、なんでもやるサトシ。
しかし、彼の努力もむなしく、やがて母は最期を迎えます。

すっかり落ち込んでしまう父と息子たち。
しかし、サトシのもとに母から思いがけないプレゼントが届くのです。

とにかくサトシは母親が大好きで、大事で、そしてこの上なく頼りに思っていたのですね。
あまりにも堂々とてらいのないその“愛”の前では、
マザコンという言葉すら霞んでしまいます。
まさに太陽のような存在だった母。
夫と息子二人は母のいないその空虚感に押しつぶされそうになってしまう。
けれどもここの長男(村上淳)は、少しばかりしっかりしていて、
ある時父と弟を誘ってドライブに出かける。
彼らの気持ちの区切りの付け方がなかなか奮っていましたけれど。

安田顕さんのラストの号泣の姿には思わずもらい泣き。
ここまで、つくづく大きな愛の力を持ったお母さんだったんだなあ・・・と、
ひたすら思ってきたわけですが、ラストでは本当に驚くばかり。



漫画家宮川サトシさんのエッセイ漫画を原作としています。
実在したからこそ、力のあるストーリーですね。
いや、無理。
私には絶対こんな母にはなれないし、そもそも手遅れだし・・・
などと引き比べてもしょうがないことを思い、
でも、いいものを見たなあ、という満足感に包まれました。

<ディノスシネマズにて>
「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」
2019年/日本/108分
監督・脚本:大森立嗣
原作:宮川サトシ
出演:安田顕、倍賞美津子、松下奈緒、村上淳、石橋蓮司

母の愛度★★★★★
満足度★★★★☆