ギブアンドテイクの関係で?

* * * * * * * * * *
SNSで知り合った相手と結婚することになった七海(黒木華)。
特に情熱があったわけではない。
「お手軽に出会って結婚」、と自分でも思っています。
それで、これは結婚後に少しずつ愛を深めていく男女の物語?
と、思いきや、そうではなかった。
七海は親族が少なく、結婚式の両家のバランスが取れないことから、
「何でも屋」の安室(綾野剛)に、代理出席のメンバー派遣を依頼します。
そして結婚して間もなく、夫に浮気の疑惑が浮上。
しかし何としたことか、七海は逆に義母から浮気の罪を被せられて、
追い出されてしまうのです。
あっけなくも結婚生活は破綻。
行き場を失った七海に、安室は月給100万円という住み込みのメイドの仕事を紹介します。
七海はそこで、メイド仲間の真白(Cocco)と意気投合するのですが・・・。

やれやれ、長い前フリだったのですが、
実は本作、この真白と七海のことがテーマだった・・・。
180分の本作半分くらいはこの前フリだったかも。
でも、七海がここにたどり着く経緯なくして、
七海のこの時の心境は語れないわけでもあります。
そもそも安室とは何者なのか?
月100万円って、それ絶対危ないよ~。
一見人が良さそうには見える安室の行動も怪しすぎるし。
・・・という杞憂も、だんだんワケがわかってきます。

真白はこんなふうに言うのです。
「優しさとか真心なんかを受けると、苦しくなってしまう。」
人から無償で何かをしてもらうとき、
自分はそれに値するのだろうか、と思ってしまうのでしょう。
もしくは、その後裏切られたときのことを考えると怖くなってしまうとか。
だから彼女はあえて「お金で買う」のだといいます。
ギブアンドテイクの関係でいれば、全て割り切って考えられる。
金の切れ目が縁の切れ目。
それでいいと思っている。
けれど少なくとも七海は、そうは思っていないわけですけれど。
こうしてみると安室も実は真白と同じ精神の持ち主のようにも思えるのです。
なんでも引き受ける。
けれど、全てあくまでも「商売」。
本当は人のために何かをすることが好きでしょうがないのに、
冷めたふりして、あえてお金をもらう。
それは結局自分が傷つかないためなのかもしれません。
彼の気持ちの「熱さ」を最後の最後に見ることができますよ・・・。
まあ余談ですが、私、本作の綾野剛さんがすごく気に入りました。
誠実すぎず、ワル過ぎず、実は熱いのに、「仕事」のフリしてる。
こういう役柄、彼には珍しいと思うのですが、素敵です。

ただただ、成り行きで流されて生きていたような七海が、
真白と知り合うことで、確実に自分で歩み始める、
つまりはそういう物語。
結婚式の親族になり替わる代理出席というのはいいですね!
そんなバイトがあるなら私もやってみたい。
ごちそうも食べられるし・・・。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」
2016年/日本/180分
監督・原作・脚本:岩井俊二
出演:黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子、地曵豪
ギブアンドテイク度★★★★☆
満足度★★★★☆

* * * * * * * * * *
SNSで知り合った相手と結婚することになった七海(黒木華)。
特に情熱があったわけではない。
「お手軽に出会って結婚」、と自分でも思っています。
それで、これは結婚後に少しずつ愛を深めていく男女の物語?
と、思いきや、そうではなかった。
七海は親族が少なく、結婚式の両家のバランスが取れないことから、
「何でも屋」の安室(綾野剛)に、代理出席のメンバー派遣を依頼します。
そして結婚して間もなく、夫に浮気の疑惑が浮上。
しかし何としたことか、七海は逆に義母から浮気の罪を被せられて、
追い出されてしまうのです。
あっけなくも結婚生活は破綻。
行き場を失った七海に、安室は月給100万円という住み込みのメイドの仕事を紹介します。
七海はそこで、メイド仲間の真白(Cocco)と意気投合するのですが・・・。

やれやれ、長い前フリだったのですが、
実は本作、この真白と七海のことがテーマだった・・・。
180分の本作半分くらいはこの前フリだったかも。
でも、七海がここにたどり着く経緯なくして、
七海のこの時の心境は語れないわけでもあります。
そもそも安室とは何者なのか?
月100万円って、それ絶対危ないよ~。
一見人が良さそうには見える安室の行動も怪しすぎるし。
・・・という杞憂も、だんだんワケがわかってきます。

真白はこんなふうに言うのです。
「優しさとか真心なんかを受けると、苦しくなってしまう。」
人から無償で何かをしてもらうとき、
自分はそれに値するのだろうか、と思ってしまうのでしょう。
もしくは、その後裏切られたときのことを考えると怖くなってしまうとか。
だから彼女はあえて「お金で買う」のだといいます。
ギブアンドテイクの関係でいれば、全て割り切って考えられる。
金の切れ目が縁の切れ目。
それでいいと思っている。
けれど少なくとも七海は、そうは思っていないわけですけれど。
こうしてみると安室も実は真白と同じ精神の持ち主のようにも思えるのです。
なんでも引き受ける。
けれど、全てあくまでも「商売」。
本当は人のために何かをすることが好きでしょうがないのに、
冷めたふりして、あえてお金をもらう。
それは結局自分が傷つかないためなのかもしれません。
彼の気持ちの「熱さ」を最後の最後に見ることができますよ・・・。
まあ余談ですが、私、本作の綾野剛さんがすごく気に入りました。
誠実すぎず、ワル過ぎず、実は熱いのに、「仕事」のフリしてる。
こういう役柄、彼には珍しいと思うのですが、素敵です。

ただただ、成り行きで流されて生きていたような七海が、
真白と知り合うことで、確実に自分で歩み始める、
つまりはそういう物語。
結婚式の親族になり替わる代理出席というのはいいですね!
そんなバイトがあるなら私もやってみたい。
ごちそうも食べられるし・・・。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」
2016年/日本/180分
監督・原作・脚本:岩井俊二
出演:黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子、地曵豪
ギブアンドテイク度★★★★☆
満足度★★★★☆