前へ進む勇気

* * * * * * * * * *
佐藤泰志さん原作の、函館が舞台の物語、第3作目。
いつもズシンと来ます。
妻と離婚し、故郷の函館に戻った白岩(オダギリジョー)。
職業訓練校に通いながら、今のところ失業保険で生計を立てています。
同じ訓練校の代島(松田翔太)からキャバクラに誘われ、
風変わりなホステス、サトシ(蒼井優)と出会います。
鳥の求愛のポーズを真似したりする、どこか危うげなサトシに、
白岩は心惹かれていきますが・・・。

地方都市で、どん詰まりの生活をしている人々・・・。
佐藤泰志作品はいつもこんなふうで、誰もが生きることの痛みを体感しているのです。
白岩がまだ幼い子供がいながらも離婚しなければならなかったこと、
もう離婚しているのに結婚指輪をしたままであることには、
どうしようもなく重い理由があるのです。

一方サトシも、心が壊れており、なかなか一筋縄ではいかない・・・。
とにかく閉塞感に満ちているのですが、
そんな中で、職業訓練校でレクリエーションとして近々ソフトボールの試合が予定されており、
徐々にではありますが、それに向けて気持ちの高まりが見えてくる・・・。
スポーツ根性物語ではないので、地獄の特訓があるわけではないですし、
勝ち負けにこだわるわけでもありません。
本作の題名「オーバー・フェンス」も、最期にやっとその意味がわかったのですが、
どこか突き抜けた清々しささえ感じられるラスト、
なかなかいいなあと思いました。
八方塞がりのような状況でも、
人と人とのふれあいの中で、ちょっぴりずつ共感を得ていく。
そんな中で、前へ進む勇気も湧いてくるのかもしれません。

それにしても私、サトシ的な感情過多の壊れかけた女性というのはどうにも苦手です・・・。
こんな風にあまりにもマナマナしく“女”であるのは・・・。
というのも、蒼井優さんがうますぎるからなのかもしれませんが。
このサトシを、その真の姿を見ながらも、受け入れようとする白岩には頭が下がる・・・。
いや、ホント。

「オーバー・フェンス」
2016年/日本/112分
監督:山下敦弘
原作:佐藤泰志
出演:オダギリジョー、蒼井優、松田翔太、北村有起哉、満島真之介
閉塞度★★★☆☆
女のエキセントリック度★★★★★
満足度★★★★☆

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佐藤泰志さん原作の、函館が舞台の物語、第3作目。
いつもズシンと来ます。
妻と離婚し、故郷の函館に戻った白岩(オダギリジョー)。
職業訓練校に通いながら、今のところ失業保険で生計を立てています。
同じ訓練校の代島(松田翔太)からキャバクラに誘われ、
風変わりなホステス、サトシ(蒼井優)と出会います。
鳥の求愛のポーズを真似したりする、どこか危うげなサトシに、
白岩は心惹かれていきますが・・・。

地方都市で、どん詰まりの生活をしている人々・・・。
佐藤泰志作品はいつもこんなふうで、誰もが生きることの痛みを体感しているのです。
白岩がまだ幼い子供がいながらも離婚しなければならなかったこと、
もう離婚しているのに結婚指輪をしたままであることには、
どうしようもなく重い理由があるのです。

一方サトシも、心が壊れており、なかなか一筋縄ではいかない・・・。
とにかく閉塞感に満ちているのですが、
そんな中で、職業訓練校でレクリエーションとして近々ソフトボールの試合が予定されており、
徐々にではありますが、それに向けて気持ちの高まりが見えてくる・・・。
スポーツ根性物語ではないので、地獄の特訓があるわけではないですし、
勝ち負けにこだわるわけでもありません。
本作の題名「オーバー・フェンス」も、最期にやっとその意味がわかったのですが、
どこか突き抜けた清々しささえ感じられるラスト、
なかなかいいなあと思いました。
八方塞がりのような状況でも、
人と人とのふれあいの中で、ちょっぴりずつ共感を得ていく。
そんな中で、前へ進む勇気も湧いてくるのかもしれません。

それにしても私、サトシ的な感情過多の壊れかけた女性というのはどうにも苦手です・・・。
こんな風にあまりにもマナマナしく“女”であるのは・・・。
というのも、蒼井優さんがうますぎるからなのかもしれませんが。
このサトシを、その真の姿を見ながらも、受け入れようとする白岩には頭が下がる・・・。
いや、ホント。

「オーバー・フェンス」
2016年/日本/112分
監督:山下敦弘
原作:佐藤泰志
出演:オダギリジョー、蒼井優、松田翔太、北村有起哉、満島真之介
閉塞度★★★☆☆
女のエキセントリック度★★★★★
満足度★★★★☆