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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

きっと、星のせいじゃない。

2015年03月05日 | 映画(か行)
切なくも輝かしい、病気のオンナノコストーリーの王道



* * * * * * * * * *

病気のオンナノコのストーリーは見ないことにしている私ですが、
本作は全米大ヒット作ということで、気になって見てみました。



末期のガンで、酸素ボンベが離せないヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)。
あまり気は進まないけれど親が安心するので
しぶしぶ出たがん患者の集会で、ガス(アンセル・エルゴート)と出会います。
ガスは骨肉腫で片足を切断しているのです。
二人はすぐに親しくなりますが、
相手を傷つけることを恐れたヘイゼルは、距離を置こうとします。
そんな時、二人は大好きな作家に会うために、アムステルダムへ向かいます。
ヘイゼルにとってはおそらくこれが最後の旅行。
そして旅の終日、ガスはヘイゼルに重大な事実を打ち明けるのです・・・。



いつも明るいガスが、最後の最後には
そうでばかりはいられないところをのぞかせるのも切ないです。
残り少ない命を燃やし尽くすように
、向かったアムステルダムのなんと瑞々しく美しいこと。
そこで出会った作家は最悪でしたが・・・。
でも二人にとってはかけがえのない思い出の地となりました。


そこで見たアンネの隠れ家。
エレベーターはなく、ヘイゼルにとっては大変つらい急な上り階段が続いたのですが、
彼女がここはどうしても自分の力で登りきろうと思った、
その気持がよくわかります。
同じく、人生のまだ入り口あたりなのに否応なくそこから先の道を閉ざされてしまった、
という意味では似ている二人。



ヘイゼルが、小説の人物たちのその後のことをとても知りたいと思ったのは、
自分の亡き後の家族がどのようになるのか、知りたいことに繋がるのでしょう。
亡くなった人をいつまでも忘れることができず悲しみにくれて生きるのか。
それともすぐに忘れてしまって、新たな家族を作るのか。
小説家が
「あとの物語なんかないんだ」
といった時に、もしかしたらこの人も親しい人を亡くして忘れられず、
生きる意欲をなくしているのかも・・・と、予感を持ちました。
確かに、これまでの単なる「病気のオンナノコ」のストーリーよりは
切り口が斬新で深い。
そしてまた、見るものを裏切るような意外な展開でもありまして・・・。
やっぱり、泣けました。
泣かないワケがないじゃありませんか!!



ユーモアがあって、いつも人を引き立てる。
ステキなオトコノコですよねえ、ガス。
これだって、好きにならないワケがない!!


ガスの名前は本当はオーガスタ。
それを略してガスと呼ぶ。
そのガスは、ヘイゼルをいつも正式な名前も含めて
「ヘイゼル・グレース」と呼ぶのです。
なんか、いいなあ・・・。
二人の合言葉は「オーケイ」なのですが、
SNS上では「OK」ではなく「Okay」と表記していまして、
なんだかそういうところも面白いと思いました。
「大丈夫?」 
「大丈夫。」
いつも互いの体調を心配している二人ならではのやりとりです。

「きっと、星のせいじゃない。」
2014年/アメリカ/126分
監督:ジョシュ・ブーン
出演:シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、ローラ・ダーン、ウィレム・デフォー

お涙度★★★★☆
満足度★★★★☆