映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ローン・レンジャー

2013年08月17日 | 映画(ら行)
爽快感とちょっぴりの郷愁



* * * * * * * * * *


「パイレーツ・オブ・カリビアン」のチームが再結集して作られたこの作品。
単に舞台を海からアメリカ西部へ変えただけ?とも思えるのですが、
そうとも言えるけれど、それだけじゃないよ、というところでした。



自称悪霊ハンターのトント(ジョニー・デップ)は、
瀕死の重症を負った郡検事ジョン(アーミー・ハマー)を聖なる力で蘇らせます。
始めは全く気の合わない二人ながら、
ジョンは白馬にまたがり、トントとともに巨悪に立ち向かっていく・・・。


白塗りのジョニー・デップは、また変人の役・・・ではありますが、
これがけっこういいのです。
いかにも怪しげで、インチキ臭くて
オトボケでもありながら、どこか真実を突きます。
彼がこうなってしまったわけは、少年時代の忌まわしい事件にあるというあたりで、
なんだか納得させられ、
その内に秘めた悲しみを見出してしまうと、
彼の奇行にも重みが出てくるという仕組み。
それはまた、アメリカ先住民の悲しみでもありますしねえ・・・。



彼らの敵は、
この世ならぬ魔法を使い、世界征服を企むなどというワケの分からないものではなく、
極めて世俗にまみれた欲深い「人間」に他ならない、
というところも気に入りました。



そしてなんといっても終盤の列車のアクションシーンがスゴイ!! 
特に白馬で列車の上を駆け抜けるなんて、
見たこともないシーンにア然。
いや、かっこいいです!!
私はすっかりこのナゾのお馬さん、シルバーの大ファンになってしまいました。



「ローン・レンジャー」は1930年代にラジオドラマで、
50年代にTVドラマで大人気を得た作品です。
私も幼少の頃TVを見た記憶はありまして、
ストーリーは全く覚えていないものの、
「ハイヨー・シルバー!」の掛け声と、
あの「ウィリアム・テル序曲」は忘れられません。
そんなわけもあってか、本作にこの曲が流れると
心浮き立ってしまうのを止めることができません。


今はもう遠い昔の物語・・・。
トントをうんと老人にして昔語りのスタイルでストーリーを進めたのには、
こういう郷愁があればこそ、なのだと思います。
しかし、単なるリメイクではなく、
見事に現代の「ローン・レンジャー」として蘇らせてくれました。

あ~、面白かった!! 
それで全てです。


「ローン・レンジャー」
2013年/アメリカ/150分
監督:ゴア・バービンスキー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ジョニー・デップ、アーミー・ハマー、ヘレナ・ボナム・カーター、トム・ウィルキンソン、ウィリアム・フィクトナー

列車アクション★★★★★
ジョニー・デップのおとぼけ度★★★★☆
満足度★★★★★