映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

終戦のエンペラー

2013年08月09日 | 映画(さ行)
ハリウッドに日本史を学ぶ



* * * * * * * * * *

1945年8月、日本が連合国に降伏。
激烈な戦争の終結です。
ダグラス・マッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)元帥率いるGHQが日本に置かれ、
米軍統治が始まる。
日本文化を研究していたボナー・フェラーズ(マシュー・フォックス)准将は、
太平洋戦争の真の責任者は誰なのか---
つまりそれは天皇なのではないか---
調査に当たるよう、マッカーサーから司令を受けます。



史実を元にした作品で、
終戦後の天皇の処遇について、このような経緯があったというのは事実なんですね。
68年を経た今、リアルタイムで当時のことを知る人も少なくなってしまいました。
私とて、戦後の生まれですので、
当時の天皇へ向ける日本人の思いというものを
本当に理解しているかどうかあやしい。
だから本作は、日本人をよく知らないアメリカ人を対象に作られたものでありながら、
同時に戦後の日本人へ向けたメッセージであると言っても良い気がします。


「耐え難きを耐えよ・・・」その天皇の言葉で、
日本人は皆抵抗することなく米軍を迎え入れた。
しかし、ここで天皇を戦争責任者として処刑などしたら、反乱が起こるに違いない。
日本を知るフェラーズはそう確信します。
そのため関係者の話を聞き、
「天皇が戦争の首謀者ではない」証拠を探そうとします。
日本人は何事も白黒付けたがらない。
すべてグレーである、と、彼は言います。
その言葉の通り、誰も天皇を責任者と指差すことはない。
どちらとも言えない・・・。
よくわからない・・・。
このような中で、フェラーズが出した結論というのは
やはり日本的なものであった、
というところが面白いですよね。


今作はフェラーズがここまで日本に思い入れをする理由を、
日本人の恋人アヤ(初音映莉子)の存在として語っています。
二人は学生時代にアメリカで出会ったのですが、
エキゾチックな東洋の美人に惹かれていくフェラーズ。
過ぎた恋の思い出は美しいですねえ・・・。



というわけでまあ、カビ臭い歴史だけではなく、
見どころもあるので、女性でもOKですよ。
常には珍しく、中高年の、しかも男性が多い場内でした! 
やはり、歴史ですね。
それにしてもマッカーサーの降り立った東京の光景。
見渡す限り焼け野原です。
色々な映画作品を見てもやはりこんなふうですね。
それから68年。
よくぞここまでになったものです。
やはりこの8月に見るのにピッタリの作品でした。



2013年/アメリカ/105分
監督:ピーター・ウェーバー
出演:マシュー・フォックス、トミー・リー・ジョーンズ、初音映莉子、西田敏行、片岡孝太郎
歴史発掘度★★★★★
恋愛度★★★★☆
満足度★★★★☆