映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「チャンネルはそのまま! 6」 佐々木倫子

2013年08月26日 | コミックス
この手のコミックで泣ける??・・・いや、それが何故か泣けるのです・・・。

チャンネルはそのまま!(6) (ビッグ コミックス〔スペシャル〕) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
佐々木倫子
小学館


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さよなら花子。さよならバカ枠!?
不振が続く北海道☆テレビでは、
小倉部長の発案で新番組「夕方ビッグバン」が始まり、花子もそのスタッフに。
ひぐまテレビの攻勢も激しくなる中、
花子らは前代未聞のドラマ企画「北のさくら」に挑もうとするが、
社内からは反対意見が続出。
一方、山根は「バカ枠は、酷使しすぎると普通の人になる」
という事実に気が付き・・・!?


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正直、マンネリ化してきていて、もう読むのをやめようかな・・・?
などと思っていた矢先でした。
本巻が完結編ということです。
・・・が、これがなかなか盛り上がりまして、
やっぱりやめるのは惜しいのでは?などと、
まことに身勝手な感想をいだいてしまったのでした。


本作、「北海道☆テレビ」と、ライバルの「ひぐまテレビ」の争いが随所に見られます。
ライバルというか、☆テレビが勝手にそう思っているだけで、
実は視聴率ではとてもかなわないひぐまテレビの強大さ。
そのやり方もかなり強引。
というところで、北海道人なら、
ある特定のTV局を連想してしまうのですけれどね・・・^^;
その後追いの弱小TV局が舞台、というのが本作のいいところです。


なんと本作中で、泣きそうになったところがありまして・・・。

第40話「街の灯」
報道部からキラキラ情報局に配置換えとなった雪丸。
山根の苦悩は深まる・・・。
そんな時、番組でヴァイオリンの生放送をすることになった。
しかし、クラシックなのでスタッフにも馴染みが薄く、
なかなかカメラのカット割りのタイミングがつかめない。
そこへすばらしいアイデアを出したのが雪丸。
彼女は勝手に曲に歌詞をつけてしまったのです。
(もちろん、心のなかで歌うだけですが)

心が折れそうなときには
丘に上って街の灯を見るの
雪の夜ににじむ街の灯
あの窓のむこうにはテレビを見てる人がいる
それは他局かもしれない
NHKかも知れない・・・


始めは叙情的?と思われる歌詞も
次第に現実的な雪丸の思いになってしまいますが、
これがスタッフには受けた。
本番も、皆この歌詞を心に秘めながらの生放送。
大変思い入れの深い曲となったのですね。
何故かこの異常な盛り上がりが、
電波を通じてお茶の間にもちゃんと伝わったという・・・。
そんなことがあるわけない、と思いますか?
どうしてかわからないけれど、
私も朝の情報番組などで生放送の音楽を聞いて、
妙に感動してしまった経験があります。
普通に音楽番組で聞けば、まあ、それなりなのですが、
いつもと違う情報番組の場で、というのがすごく新鮮で、
スタッフの緊張とか感動がそのまま伝わる気がすることが、確かにあると思うのです。
本作ではもちろん著者佐々木倫子さんの力量もあり、ということですね。
このシーンで、私まで感動してしまった。
考えてみたら実際には曲なしですよね。
スゴイ。


さて、その後、雪丸や山根は「夕方ビッグバン」という新番組のスタッフとなります。
雪丸は前代未聞のドラマ企画「北のさくら」に挑むことに。
さてその生放送の最終回・・・どうなる!!

そうでした、この「北のさくら」最終回も泣きそうでした。


「チャンネルはそのまま! 6」佐々木倫子 小学館
満足度★★★★★