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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

うさぎドロップ

2011年08月27日 | 映画(あ行)
イクメン奮闘記。けれど、子育ては一人ではできない



            * * * * * * * *

宇仁田ゆみさんコミックの映画化ですね。
実のところ、あまりにホンワカしていそうなこの作品、
さほど期待はしていなかったのですが・・・。
でもかなりのめり込んで楽しく見てしまいました。


27歳独身のダイキチ。
ある日、祖父の葬儀で女の子がひとりぽっちで淋しくたたずんでいるのを見かけます。
なんとその子は、祖父の隠し子。
親族一同でその子をどうするか、揉め始めるのですが、
それを見かねたダイキチは、つい勢いで
自分が引き取る!!と言ってしまいました。
さあ、それから悪戦苦闘のダイキチの子育てが始まります。

りんちゃん。6歳。
お父さんが亡くなったわけですから、一番ショックを受けているのは彼女ですよね。
女の子を守ろうとするダイキチは騎士(ナイト)です。
行きがかり上だろうが何だろうが、
そういう気持ちを持っている男子っていいなあ・・・。
しかし、「幼稚園と保育園はどう違うんだ・・・」
なんてつぶやいているのには一抹の、いえ、大いなる不安が・・・。
一見無関心で冷たい妹が、
素っ気なくもアドバイスをくれるのがナイスです。



ダイキチがりんを連れて満員電車に乗ったり、
街を駆け抜けるシーンが何度も繰り返されます。
これぞ、育児はきれい事じゃない。
毎日毎日がこんな戦争のような日々の繰り返し。
そういうメッセージが伝わってとてもよかった。
私も仕事を持ち、保育園にお世話になった口なので、
こういうことは切実によくわかります。
まあ、だからこそ並以上にこのストーリーには肩入れしたくなるのかもしれません。

ダイキチはサラリーマンですが結構有能で、
周りからも期待されているようなのですね。
でも、今の勤務ではりんを通常の保育園に通わせるのは無理。
そう思い定めると実にあっさり、定時で帰ることができる部署に転換を願い出ます。
うじうじ悩んだり、りんを手放すことを先に考えたりしない、
このきっぱりしたところが、なんてカッコいいんでしょう!! 
しかしそうではありながら、
ダイキチは時折ファッション誌のモデルとダンスをする夢想にかられたりします。
それはカッコいい松ケンを映し出すファンサービス?と思いきや、
当のその人物が、りんの保育園友達の母親(シングルマザー)だったりする心憎さ。
意外なところに伏線がはってあるので、あなどれません。



そしてまた、ダイキチはとにかく一人でがんばろうとしますが、
結局いろいろな人に助けられていきます。
そのシングルマザーであったり、
妹、父母、職場の人たち。
「親になると強くなるのかと思ったら、そうではなくて臆病になる。」
「子育ては一人じゃできない」
今大切なメッセージがこもった、ステキな一作です。
そして芦田愛菜ちゃんの単に可愛いだけではない迫真の表情の数々。
参りました・・・!!

2011年/日本/113分
監督:SABU
原作:宇仁田ゆみ
出演:松山ケンイチ、香里奈、芦田愛菜、桐谷美玲、