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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ザ・ファイター

2011年04月06日 | 映画(さ行)
押しつけがましく暑苦しい家族の愛。だが、しかし・・・



           * * * * * * * *

米ボクシング界の伝説的存在、ミッキー・ウォードと
その異父兄ディッキー・エクランドの実録ドラマです。
1980年代、マサチューセッツ州ローウェルの町が舞台。

ディッキー(クリスチャン・ベール)は以前
米ボクシング界のスター、シュガー・レイ・レナードと闘ったことがあり、
町の英雄でした。
その影で、その兄にボクシングを教わり、
着々と実績を積んでいく弟ミッキー(マーク・ウォールバーグ)。
しかし、ちゃらんぽらんな兄と高圧的で何でも勝手に仕切ってしまう母に振り回され、
最近は負けが続く・・・。



普通ボクシング映画は、決してくじけないこと、あきらめないこと、
それが必須のテーマです。
でもこの作品、加えてそれを取り巻くファミリーがもう一つのテーマ。
しかも家族の愛に支えられ・・・というお定まりのものではなく、
彼らの存在が逆に大きな障害となっている、というのが結構苦いのです。
派手で目立ちがりや、行動もいい加減、しかしいつも皆の注目を集める兄。
そのため母の関心もそちらに向きがち。
ところが、ミッキーが独立を匂わせれば猛反対。
お前は騙されている!の一点張り。
ミッキーを追い込んでいるのは、その家族自体。
そんな状況を救ってくれるのが、
ミッキーの恋人シャーリーン(エイミー・アダムス)なのですが・・・。



この作品は、家族のがんじがらめの押しつけの愛から独立する男の物語かと思えば、
それがまたそうでもないんですね。
ディッキーは麻薬に手を染め、投獄されてしまうのですが、
その間ミッキーは他のトレーナーにつき着々と成果をあげていく。
これが双方ともによい冷却期間となるわけです。

時には暑苦しく、重荷に感じてしまう家族だけれど、
でもそこは自分のアイデンティティの帰するところでもある。
そういうリアルな家族の有り様を実感させられました。



マーク・ウォールバーグの筋肉質の体にも目を見張りましたが、
クリスチャン・ベールがまた一段とすごかったですね。
彼はこの作品のために大幅に減量し、髪を抜き、歯並びまで変えたのだとか。
役者魂ここにあり!



「ザ・ファイター」
2011年/アメリカ/116分
監督:デビッド・O・ラッセル
出演:マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、メリッサ・レオ