「ショートソング」 枡野浩一 集英社文庫
ショートソングとは、つまり短歌のことです。
作者枡野浩一氏は歌人。
新進気鋭といいますか、現代の5・7・5・7・7なんですね。
実は私、ほんのちょっと俳句を勉強しかけたことがあるのですが、
やはり俳句はさらに字数が少なくて、なかなか思いを5・7・5に収めるのは難しい。
季語という制約もあって、どうしても、季節感・自然をあらわすものになりますね。
もう少し自由に自分の思いをこめたい、となるとやっぱり短歌かなあ、と思います。
それで、ちょっと興味はあるのです。
さてと、でもこれは歌集ではなくてれっきとした小説。
ハーフで美男子、大学生の克夫。
ひょんなことから短歌の会合に引っ張り込まれて、
短歌を始めることになってしまった。
そこにはめがねの似合う天才歌人、伊賀がいて、
彼の指導もあって、めきめきと上達。
この本は、克夫と伊賀が交互に語り手となって、ストーリーが進んでいきます。
もちろん、中にはいろいろな歌もちりばめられていて、楽しめます。
短歌は恋の歌が多いですね。
いにしえには、万葉歌人が手紙の変わりに交わしたものですから。
なので、ここでも、いろいろな女性が登場して、ほのかなラブストーリーも進行するわけです。
とにかく、このちょっとエキセントリックな歌人枡野浩一氏の作品を知っておくのも悪くはないと思います。
しかし、克夫の妹が若芽。・・・それはないでしょ・・・。
この方の歌集をきちんと読んでみたくなりました。
ホームページも、とてもユニークです。
満足度★★★
言ってるわりに評価は低い・・・?
この作品、小説としては、特に好きな話ではありません。
・・・が、まだ見ぬ歌集は期待できそう。