古本屋で偶然見つけ、この大仰な書名に引かれて買ってしまった。600円(原価は360円)。
読み始めた当初は、だまされたと思った。
本の内容が、著者の思い出話や薀蓄が盛りだくさんの随筆であり、「思想」を体系的に語ったものではなかったからだ。
しかし読み進めるうちに著者の意図が飲み込めるようになった。
あとがきで著者は、なるべく体験的、感覚的なものを基にして、コミュニケーションとしての着物の姿をえがき . . . 本文を読む
200頁強の小著であるが箱入りである。
文化史という題名がついているので日本文化論的な部分があるのかと思ったが、そういうところはなく、純然たる日本服飾通史である。
この厚さで古代から現代まで記述するのだから無味乾燥にならざるを得ない。一言でいって教科書のような本だ。
因みに鹿島出版会は建築やデザイン関係の良書を多く出しているシブイ出版社だ。
訂正とお詫び
越中文俊さんの「褌ものがたり」ですが、増 . . . 本文を読む
きものに関する常識・注意事項を400項に分けて解説。
最近のカラーページばかりの本に慣れているせいか、30年前のこの本はやけに新鮮に感じられる。
絵や図が少ないが、小項目に分けるというやり方は意外とわかりやすいのに感心。
現在の「きまり」と30年前のそれとを比較するつもりで読んだのだが、礼服・準礼装に関する部分は現在のものとほとんど変わりが無かった。
一方で普段着・街着にかなりのページがさかれ、ウ . . . 本文を読む
『近世風俗志―守貞謾稿』 喜田川守貞 岩波文庫 全五巻
天保年間の1837年ごろから慶応3年(1867年)まで書き続けられた江戸・上方の風俗の記録書。非常に広範な内容を、豊富な図版を交えて解説しており百科事典的に使える本である。
いや、それよりも読んでいて(眺めていて)時間を忘れるほど楽しい本だ。
文献的な考察もしっかりしているので著者は学者なのかと思いきや、そうではなく詳細は良く分からない人 . . . 本文を読む