「きものは難しくない」と言う人がいる。
こういうことを言う人の多くは「きものを普及させたい」という心があるようだ。いわばセールストークの一種である。
もし本心からそう思っているなら、私は本当に尊敬してしまう。
着るほどに、きものは難しいと私は思ってしまうからだ。
しかし、「男のきものは難しくない」という言葉ならわかる。これは女のきものと対比した場合の言葉だろうからだ。
女のきものは難しくて深く . . . 本文を読む
男のきものは見えないところにお金をかけるとよく言われる。私はきものを着始めの頃、呉服屋さんの口からこの言葉を聞いて思った。
「(゜Д゜)ハァ? 見えないところに凝って一体どうするんじゃ」
その後いくつかのきもの屋さんとお付き合いするようになって、これはセールストークの一つなのだとわかった。女性のきものに比べ、見た目も値段も地味な男のきもので利幅を出すにはこの方法が良いのだ。おそらく販売教本にも記載 . . . 本文を読む
レストランを予約するとき「ジャケットを着て来い」といわれることがある。
レストランの暖房が壊れているので厚着をしてきなさい、ということではもちろんない。
「ウチはちゃんとしたレストランだからそれなりの身なりをしてください」ということだ。
だからこの「ジャケット」は単なる上着のことではない。通常ネクタイも含んでのジャケットである。
ところで私たち夫婦は、仏国料理でも伊太利亜料理でも支那料理でもたい . . . 本文を読む
日本人である私が日本の民族衣装であるきものを着るのには何の理由もいらない。あたり前のことである。
と、これは一応正論ではある。
しかし、ここ140年ほどの時間の中で日本人が日常着としての着物をあっさり捨て去ってしまったということもまた日本の歴史の事実としてある。
特に男のきものなんて現在は殆ど絶滅したに等しい。もし職場の同僚がある日突然きものを着始めたら、私も「一体どうしたの?」とたずねてしまうだ . . . 本文を読む
私ぐらいの年齢できものを着ていると何がしかの「業界の人」だと思われることが多い。
ファッションできものを着ているとは見てくれない。
着初めの頃は結構うれしかった。着慣れている人と思われたかったのだ。
業界の人とは具体的には、まず呉服屋、次に茶道、舞踊、華道、武道などの伝統芸能関係だ。
幸いにして? 落語家、力士、僧侶などに間違われたことはまだない。
しかし、きものをよく着る呉服屋さんというのは本 . . . 本文を読む