MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ルームロンダリング』

2018-07-11 00:24:18 | goo映画レビュー

原題:『ルームロンダリング』
監督:片桐健滋
脚本:片桐健滋/梅本竜矢
撮影:江崎朋生
出演:池田エライザ/オダギリジョー/渋川清彦/健太郎/光宗薫/木下隆行/つみきみほ
2018年/日本

ファンタジーの「度合い」について

 主人公の八雲御子は父親が亡くなり母親が失踪した後に自分を育ててくれていた祖母も亡くした後、母親の弟で不動産業を営んでいる雷土悟郎の仕事を手伝っていた。それがいわくつき物件に住むことでその履歴を帳消しにする「ルームロンダリング」というアルバイトなのであるが、御子には幽霊を見たり会話できたりする天性の能力があったために地縛霊とトラブルを抱えがちだった。
 つまり本作は主人公と霊が交流するというファンタジーで、その文脈に従うならば千夏本悠希を殺害した犯人を捕まえるために「猿蟹合戦」というモチーフを使うことに違和感はないはずだし、さらに読書家の御子は『レクトロ物語』(ライナー・チムニク著)や宮沢賢治など児童文学の愛読者でもあるのだが、唐突に使われる「猿蟹合戦」にはさすがにファンタジーとはいえ登場人物たちは子供ではないのだから一気にしらけてしまった。
 しかし例えば、御子と同じアパートの隣人の虹川亜樹人が初めて言葉を交わすワンシークエンスショット内に列車を3本走らせたのはそれなりに監督の画のこだわりを感じた。


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