MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ザ・スワン』

2018-07-20 00:48:52 | goo映画レビュー

原題:『Svanurinn』 英題:『The Swan』
監督:アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル
脚本:アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル
撮影:マーティン・ノイマイアー
出演:グリーマ・ヴァールズドッテル/ソウルワルドゥル・ダヴィズ・クリスティアンソン
2017年/アイスランド・ドイツ・エストニア
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018

労働者が綴る「詩」の威力について

 主人公で9歳のソウルは夏休みの間、母親の妹が営む牧場で体験労働をすることになる。そこの夫妻には大学生の娘がいるのだが、久しぶりに帰郷してきた彼女は妊娠しており堕胎手術を受けることになる。毎年訪れている季節労働者と一緒の部屋で過ごすことになったソウルは彼のことが気になりはじめていたのだが、その季節労働者はその娘と良い仲になる。ソウルはまだ若すぎたのである。
 しかし本作には絶えず死が付きまとう。ソウルが世話をしていた子牛は屠られて家族や近所の子供たちに食されてしまい、カーニバルに参加した3人のうち労働者が体調を崩してしまい、娘が馬に乗せて帰宅する際に、誤って労働者を河に落としてしまうのである。
 目覚めたソウルはいつの間にか家に帰っており、2人の行方は分からないままだったのだが、娘は戻って来たものの労働者はどこへ行ったのか誰にも分からなかった。そんな時にソウルが対峙したのが白鳥だったのであるが、本作はまさに「白鳥の歌(Swan Song)」であろう。タルコフスキーの詩が引用されているのであるが、そっくりな美しい作風である。


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