原題:『Zhgi!』 英題:『Light Up!』
監督:キリル・プレトニョフ
脚本:キリル・プレトニョフ
撮影:セルゲイ・ミハリチュク
出演:インガ・オゴルディナ/ヴィクトリア・イサコヴァ/ウラジミール・イリン
2017年/ロシア
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018)
消えそうな夢をつなぐ方法について
今は女性刑務所の看守として働いている45歳のアレフチナ・ロマノヴァは幼い頃同じ刑務所で慰問として歌を歌いに来ていたのであるが、伴奏してくれていた祖母が演奏中に急死したために歌手になる夢を諦めて看守として働いている。しかし彼女の歌声は衰えておらず、酔った勢いで歌っていたところを撮影され、それが動画サイトにアップされたことから話題になりテレビ局の新人発掘の歌番組『ライト・アップ』のプロデューサーのオルガ・ブゾバの取材まで受けるようになってしまうのだが、アレフチナの周囲は良い気がしない。高校生の娘のシュルカは喜んでいるが大工の夫は激怒し、刑務所の上司たちも仕事に支障が生じるとして機嫌が悪いのである。そんなアレフチナの背中を押すのがマリア・スターという囚人で、実は彼女が動画をアップした張本人である。マリアの伴奏でアレフチナはオペラの練習を始める。
一方で、女性刑務所には問題があり、男性看守たちの女性囚人に対するセクハラがはびこっていたのである。アレフチナは地域緊急対策委員長のエレーナが対処することでモスクワに向かったのであるが、仮釈放されたマリアがエレーナの娘に歌のレッスンをすることになったことで実は男性看守たちとエレーナが繋がっていたことを知り、マリアがエレーナの家に立てこもる事態となる。モスクワで本番中のアレフチナが画面を通してマリアを説得するのであるが、結局、マリアは撃たれてしまい、モスクワにいるアレフチナはそのことを知らずに事件の解決を喜んでいる。
ロシア版「アメリカン・ニューシネマ」といったところだろうが、不思議なのはポスターである。写っている女性はアレフチナではなくマリアを演じたヴィクトリア・イサコヴァ(Viktoriya Isakova)の方で、つまりそういうことなのである。