原題:『The Last Suit』
監督:パブロ・ソラルス
脚本:パブロ・ソラルス
撮影:ファン・カルロス・ゴメス
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ/アンヘラ・モリ―ナ/ナタリア・ヴェルベケ/オルガ・ボラス
2017年/スペイン・アルゼンチン
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018)
現代の「リア王」について
主人公の88歳の仕立屋のアブラム(1927年1月15日生まれ)は引退と同時に子供たちに財産を処分され特養老人ホームに入れられそうになったことを契機に、戦時下でユダヤ人である自分を救ってくれた友人のピオトレックに自分が仕立てた服をプレゼントするために故郷のポーランドに向かった。
実はアブラムにはマドリッドに住むクラウディアという娘がいるのだが、他の子供たちがアブラムに媚びを売っていた中でクラウディアだけがそれを拒んだためにアブラムの方から絶縁したのであるが、今になってそれを後悔していたアブラムは謝罪することでクラウディアとの関係を回復しようと目論んでいた。ところがクラウディアも兄弟から財産贈与を受けていたことを知り、アブラムは一人でポーランドに向かうことにする。
身内の冷たさに対して、飛行機内で隣の席に座っていたミュージシャンのレオやホテルの受付嬢のマリアやドイツ人の人類学者のイングリッドやナースのゴジアなど他人が協力してアブラムをピオトレックに再会させるところが皮肉として効いている。