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『グスコーブドリの伝記』

2012-07-16 22:05:39 | 映画
公式サイト
 映画館で予告編を観た時からすっかり観に行くつもりになっていた映画でした。

以前同じ杉井ギサブロー監督の宮沢賢治作品『銀河鉄道の夜』を観て すごく感激した記憶がありました。(なんと1985年制作の映画でした、びっくりです

 『銀河鉄道の夜』の時、最初は猫が主人公???と心配になったのですが ひとりの人間を主人公にしてしまうと 読み手によって印象がいろいろある主人公のイメージが決めつけられてしまう恐れがありました。
 その点、猫を主人公にすれば受けてが自由に主人公のイメージを拡げることができます。 なるほど、猫で大正解だったんだ、と思っていたら 今度の作品も同じく猫が主人公になっていました。

 私は子どもの頃、両親からたくさんの本を与えられていて当然宮沢賢治作品もかなり読んでいるはずなのですが この『グスコーブドリの伝説』は読んだ記憶がありませんでした。

 イーハトーヴの森で家族四人で平和に暮らしていたグスコーブドリだが森に飢饉が続き、両親は家を出ていってしまった。 残された妹とふたり暮らしていたブドリだったが ある日コトリという謎の人物が家にやってきて妹ネリをさらっていってしまった。
 ひとりになってしまったブドリは家を出て、工場、農場で働き、大学の教授に推薦され火山研究所で働く。 多くの人に助けられ成長していったブドリはみんなの役に立つことを考え、ある行動をとる決心をする。

 お話は やはり重い思いが込められていると思いました。

宮沢賢治が生きた時代の東北地方は大きな地震があったり飢饉があったり大変な時代だったようです。
 彼は時代の中で自分の生きる道を模索し、主人公にその答えを歩ませたように思いました。

 これはまったく私の勝手な印象なのですが この作品を観ていて 寺山修司の世界が浮かんできました。
 宮沢と寺山の共通点は ふたりが東北地方の出身者、というだけなので 本当はあまり関係ないとは思うのですが どうしてもこのふたりが思い出されてしまいました。

 「コトリ」の存在、妹ネリの行方など 考えてしまうと随分暗い結論になりそうです。
 でも、自己犠牲の物語としたくない、と考えた製作者の心は伝わってきました。
コメント
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