山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

143年続いた老舗旅館がゆるーいカフェに

2021-11-14 22:38:02 | 旅行・散策

 近所の人と珍しくカフェに行こうということになった。「対秋桜」という旅館がカフェになっているのでそこに行ってみたらお休みだった。それではと、昨年8月オープンした犬居にある「旧松本屋旅館」のカフェに行くこととなった。そこは明治10年(1877)創業の老舗旅館だったようで風雪のたたずまいが圧倒した。いまは経営者が変わり「La vie Libre(ラビリーブル)」という古民家カフェとなっている。「自由な暮し」という意味らしい。

  

 そおっと開けないと歴史が壊れるのではないかと玄関の引戸を開ける。このガラスにはたしか松本屋旅館と吹き付けの文字があったはずだが、いまは消されている。玄関の内側からみた引戸と上段の格子模様が歴史を語っている。お客として内部に入るのは初めてだ。

  

 玄関中央にはレトロな「電話室」と精工舎の柱時計があった。それは以前、散策会でちょっとだけのぞいたときの記憶がよみがえった。電話室にはダイアル式の黒電話があるはずだが確認していない。柱時計は大正3年(1914)の大火のとき宿泊客が運んでくれたもので、以来大切にしているという。

 コーヒーが来るまでの間、きょろきょろしながら天井を見たら今では懐かしい碍子が使われていた。この電線は生きているのだろうか。大正の火災があったので創業時の柱ではないのだろうが、梁はしっかりしている。

       

 このカフェにはネコが9匹いるという。たしかに毛並みといい表情といい種類といい堂々と店内を闊歩している。ネコカフェと言っても良いくらいだ。また、ピアノの隣には立派なワンちゃん(梅太郎くん)がお客を観察していた。お客の犬が入ってくると、横になっていた梅太郎くんが柱を倒すのではないかと思うくらい立ち上がり空気が破れるように吠えたので迫力ある。こういう犬猫ののびやかな振る舞いが魅力なのだろう。お客は若い人が多かった。

 この地域は春野町の中心街であるが、コンビニやファミリーレストランなどはない。だが、こうした拠点ができることで、まったりした時空の漂いを定着してもらいたいものだ。2・3階には書院・欄間・掛軸・扁額などの見どころがあるようだが、次回以降の楽しみとしたい。

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