50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

フランス映画の明日は、なに色?

2008-01-19 05:17:26 | 映画・演劇・文学
フランスで恋といえば、みず色。どうしてかって、それはあの有名な『恋はみずいろ』(ポール・モーリアです、懐かしいですね)。では、映画の明日は、ばら色・・・であると良いのですが、さて、どうでしょうか。


フィガロ紙に毎週水曜に挟み込まれる情報誌“Figaro Scope”の今週号が紹介しているように、18日から20日まで、第2回の“Salon du Cinema”(サロン・デュ・シネマ)が開催されています。

前回も行ったのですが(のべ5万人の入場者だったそうです)、絵コンテから撮影、編集まで、映画製作の過程が見れたり、それなりに面白かったのですが、今回は・・・


平日のせいか、社会科見学でしょうか、クラスでまとまって来ている小学生がものすごく多くいました。それに引き換え、大人は・・・


今回は、メイクアップにスポットを当てたのでしょうか、メイクの実演が何ヶ所でも行なわれています。しかも、見学者も大きな傷口とかちょっとした特殊メイクがしてもらえるとあって、小学生に大人気。また、アクションシーンの実演も、これまた小学生を中心に拍手喝采。


あとは、ブティック。つまり、記念品の販売コーナー。これまたいくつも出店していました。


おとなの映画ファンには、辛うじて、批評家や監督など映画の専門家たちによる、討論会やシンポジウムなどが用意されています。それと、CGを使った映像処理の実演がちょっと面白いといえば、面白い。

今回のサロン・デュ・シネマはターゲットを子どもに絞ったのでしょうか。夜のニュースでは、それなりに好意的に紹介していましたが、10ユーロ払って大人が見てもあまり面白いものはないような気がします(週末行こうと思っている方、ガッカリさせてすみません。個人的感想ですから・・・)。大人は今さら映画をもっと好きになってと言っても変わりようがない。それよりこれからの映画ファンになってくれる子供たちに、映画への興味を持ってもらえるような内容にしたのでしょうか。それならいいのですが、単に映画関連企業の熱意不足だったりすると、残念な気がします。次回開催されるのかどうか・・・大きな展示ホールで行なわれているのですが、前回は全スペースを使っての開催。それが今回は、奥の方はプレス用スペースで一般は入場できない。つまり、展示スペースが縮小されていました。出店希望者が少なかったのでしょうか・・・

もし、主催者側が子どもをターゲットにしたという明確な路線変更があったのなら、もしかしてと考えられる背景もあるにはあります。


13-14日付のル・モンド紙です。フィヨン内閣では閣僚の実績を通信簿のように評価することになったそうです。成績が悪いと、更迭。口が滑ったとか、プライヴェートがどうとかではなく、あくまで仕事の実績で評価し、大統領や首相が納得しなければ、首を挿げ替える・・・どうです、厳しいでしょう。6回当選すると順送りで閣僚の椅子が(自分の専門領域とは限らず)回ってきて、大過なく過ごせばめでたし、めでたしというのとは大違いのようです。

さて、では文化大臣(クリスチーヌ・アルバネル大臣)の評価は、なにを物差しに図るのか。経済成長率とか、失業率とか、分かりやすい数値があれば良いのですが、文化にそうした数字があるのか・・・そこで、評価の仕組みづくりを担当するコンサルタント会社や内閣官房などが持ち出してきたのが、
・子どもたちが、文化省の補助金を受けている組織からどの程度文化的・教育的利益を享受したか
・どのくらいの学校が、教育の一環に文化的イベントを取り入れたか
・美術館、モニュメント、劇場など補助金を受けている施設への来場促進、特に若年層の来場者の増加
・国際的文化競争におけるフランスの立場の強化、例えば、国内におけるフランス映画の上映・鑑賞の増加、美術品取引に占めるフランス市場のシェア向上、文化関連の輸出量増大など
・公共放送における文化的番組の増加・・・など、など。

こうしてみると、やはり次代を担う子どもたちがどれだけ文化に接することができたのか、というあたりがひとつのポイントになっているようですね。文化の中にはもちろん映画も。サロン・デュ・シネマも文化イベント。もし、このイベントがなんらかの公的補助を受けていて、そこに学校単位で見学に来ているのであれば1番目、2番目の評価項目に該当しますし、映画への関心を喚起したということで、4番目も含まれるかもしれない・・・

政治の成果主義が文化政策にもいろいろ影響を及ぼし始めているのかもしれないですね。これも、国際化、国際競争の思わぬ影響なのでしょうか。やり方に良い悪いはあるでしょうが、それでもフランスは自国文化を守るために知恵を絞っているようです。われらが日本は、大丈夫でしょうか。現場が頑張る、民間が頑張る、といういつものパターンなのでしょうか・・・心配で夜も眠れない、なんていうのは真っ赤なウソ! 「みず色」で始まって最後は「真っ赤」。それでは、明日をご期待ください。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

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2 コメント

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Salon du Cinema (ぐらっぱ亭( ̄ー ̄))
2008-01-19 09:15:56
takeさん、確かにプロフィール追加欄に仏文、準一級とありますが、このように毎日地元の新聞を詳しく読めれば、相当な情報通になりますね。羨ましい。確かにこのサロン、こちらで想像するものとちょっと違いますね。まして子供対象のプログラムがセットされているとは!閣僚通信簿、早速日本でも取り入れて欲しい!昨日も経済担当大臣が「日本は既に経済でもとっくに1流ではなくなっているから、これからは国民の気概が大事」なーんて。他人事みたいなこと、よっく言えます。嘗て経済評論家だったから、そのクセが出たのでしょうがまるで評論家そのもの。誰がこのテイタラクを招いたのか、てめー達なんですよ。即、挿げ替えるべし。
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マネジメント (take)
2008-01-19 16:53:29
ぐらっぱ亭さん

日本は昔から現場主義。現場で社員が元気よく楽しく働けるような環境を作るのが経営者の仕事・・・今でもこうした発言を経営トップから聞くことがよくあります。だから、アメリカ人記者から「日本の現場は世界最高だが、経営は全くなっていない」といわれるのでしょうね。

欧米の多くの国では、管理職はマネジメントの教育を受け、その経験を積むべく初めから管理職、そして、その知識と経験を元に会社の経営に当たる、と聞いたことがあります。だから、経営のプロ。一方の日本はいつまでも現場の優秀社員。

これまた彼我の差ですが、労働文化、経営文化の差。それぞれのやり方で頑張るしかないのでしょうね。そして、こうした違いが、政治家にもでているのだと思います・・・政策はない、とにかく、国民が、頑張れ!
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