(ときどき更新の③です)
政治・経済の分野では、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)のように、新たに成長を遂げ、先進国の仲間入りをしようとする国々がありますが、同じようにアートの世界にも新興国があるようです。
その辺の事情を紹介してくれている9月30日-10月1日付のル・モンド紙です(ずいぶん古い資料で恐縮です)。「アート~東洋から起こってきたヌーヴェル・ヴァーグ」・・・アートの世界にも、新しい波が押し寄せてきているという見出しです。
今、アートの世界で注目されているのが、BRICsと重なる中国、インド、そしてイランなど。経済が成長し、何かと注目されるようになると、アートなど文化面でも脚光を浴びるようです。逆にいうと、政治・経済である程度の存在感を示さないと、その国の芸術は注目されない・・・そんなものかもしれないですね。国力が上がらないと、文化も大きくは注目されない・・・
「歴史の周辺部に辛うじて生息している我々ラテンアメリカの住民は、西洋人にとっては宴のライトが消されようとする頃にやってきた場違いな訪問者に過ぎない」と1989年に言った作家のオクタヴィオ・パスの言葉が途上国の文化状況を的確に言い表している。インターナショナルとは、文化も含め、ヨーロッパとアメリカ合衆国との間のやりとりに過ぎない。従って、アーティストが世界から注目されようとするなら、ロンドン、パリ、ニューヨークのいずれかに住んで創作活動をしない限り、注目されることはない―――。
少し前までは、こうした状況だったようです。しかし、今日では、新しい傾向が生まれているそうです。どんな傾向かというと、ヴェニス・ビエンナーレをはじめ多くのコンクールなどで周辺諸国の作品が注目を集め、そうした作品を集めたオークションも行なわれるようになってきている。もはやアーティストは欧米に行かなくても、その価値ありと認められれば、キュレーターのほうから訪問するようになってきている・・・ずいぶんな様変わりのようですね。
こうした傾向を反映して、パリでも新興国のアート作品を集めた、アート見本市が行なわれています。例えば、Hotel Dassault(ダッソー館)。10月1日に行なわれたオークションでは、中国、インド、イランなどのアーティストの作品が中心だったそうです。
(競売の行なわれたHotel Dassault、外見どおりで、受付の男性からしてスノッブを絵に描いたようなところです)
フランス人には、中国文化への憧れがある。1930年代の上海租界がその夢をいっそう掻きたてている。寿司、柔道、着物など日本的なものならなんでも脚光を浴びた15年ほど前の日本ブームのように、これからは中国ブームになるのではとも言われているようです。
イランについては、ヴェールの下に隠されたイスラム社会、特に女性たちがどのような暮らしをして、何を考えているのか・・・そのような関心にこたえてくれるような写真が特に受け入れられているそうです。紙面に紹介されている写真は、ソーダの小瓶とラジオがなかったなら、そのセピア色の色調から19世紀くらいの写真に見えてしまうかもしれない作品。5,000ユーロ(約82万円)くらいの値がついているそうです。
インドの作品への関心は、多くの国で見られ、9月初旬に上海で行なわれた美術見本市では、インド人作家の作品が中国人作家のもの以上の人気を集めていたとか。パリでも、関心の的になりつつあるようです。
ところで、アートの世界での新興国の作品を集めたオークション。やはりクリスティやサザビーが行なっているようですが、開催場所は、ニューヨークとドバイ。ニューヨークはともかく、ドバイ。何かと注目されるUAE(アラブ首長国連邦)です。アブダビにはルーヴル別館ができたり、美術・学術分野でもその注目はすごい! やはり、オイル・マネー。「お金のあるところに、美術品は集まる。それも、西回りで」と言われているように、ヨーロッパからアメリカへ、そして、日本へ。今やドバイ。しかし、芸術作品が注目されている中国、インドへ、ちょっと逆回りになりますが、世界の作品が集まり始めるのも、そう先ではないのかもしれないですね。アートとお金の関係・・・アート作品を個人所有する気持ち資金もない私は、せめて美術館に足繁く通おうと思っています(やせ我慢・・・)。
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政治・経済の分野では、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)のように、新たに成長を遂げ、先進国の仲間入りをしようとする国々がありますが、同じようにアートの世界にも新興国があるようです。
その辺の事情を紹介してくれている9月30日-10月1日付のル・モンド紙です(ずいぶん古い資料で恐縮です)。「アート~東洋から起こってきたヌーヴェル・ヴァーグ」・・・アートの世界にも、新しい波が押し寄せてきているという見出しです。
今、アートの世界で注目されているのが、BRICsと重なる中国、インド、そしてイランなど。経済が成長し、何かと注目されるようになると、アートなど文化面でも脚光を浴びるようです。逆にいうと、政治・経済である程度の存在感を示さないと、その国の芸術は注目されない・・・そんなものかもしれないですね。国力が上がらないと、文化も大きくは注目されない・・・
「歴史の周辺部に辛うじて生息している我々ラテンアメリカの住民は、西洋人にとっては宴のライトが消されようとする頃にやってきた場違いな訪問者に過ぎない」と1989年に言った作家のオクタヴィオ・パスの言葉が途上国の文化状況を的確に言い表している。インターナショナルとは、文化も含め、ヨーロッパとアメリカ合衆国との間のやりとりに過ぎない。従って、アーティストが世界から注目されようとするなら、ロンドン、パリ、ニューヨークのいずれかに住んで創作活動をしない限り、注目されることはない―――。
少し前までは、こうした状況だったようです。しかし、今日では、新しい傾向が生まれているそうです。どんな傾向かというと、ヴェニス・ビエンナーレをはじめ多くのコンクールなどで周辺諸国の作品が注目を集め、そうした作品を集めたオークションも行なわれるようになってきている。もはやアーティストは欧米に行かなくても、その価値ありと認められれば、キュレーターのほうから訪問するようになってきている・・・ずいぶんな様変わりのようですね。
こうした傾向を反映して、パリでも新興国のアート作品を集めた、アート見本市が行なわれています。例えば、Hotel Dassault(ダッソー館)。10月1日に行なわれたオークションでは、中国、インド、イランなどのアーティストの作品が中心だったそうです。
(競売の行なわれたHotel Dassault、外見どおりで、受付の男性からしてスノッブを絵に描いたようなところです)
フランス人には、中国文化への憧れがある。1930年代の上海租界がその夢をいっそう掻きたてている。寿司、柔道、着物など日本的なものならなんでも脚光を浴びた15年ほど前の日本ブームのように、これからは中国ブームになるのではとも言われているようです。
イランについては、ヴェールの下に隠されたイスラム社会、特に女性たちがどのような暮らしをして、何を考えているのか・・・そのような関心にこたえてくれるような写真が特に受け入れられているそうです。紙面に紹介されている写真は、ソーダの小瓶とラジオがなかったなら、そのセピア色の色調から19世紀くらいの写真に見えてしまうかもしれない作品。5,000ユーロ(約82万円)くらいの値がついているそうです。
インドの作品への関心は、多くの国で見られ、9月初旬に上海で行なわれた美術見本市では、インド人作家の作品が中国人作家のもの以上の人気を集めていたとか。パリでも、関心の的になりつつあるようです。
ところで、アートの世界での新興国の作品を集めたオークション。やはりクリスティやサザビーが行なっているようですが、開催場所は、ニューヨークとドバイ。ニューヨークはともかく、ドバイ。何かと注目されるUAE(アラブ首長国連邦)です。アブダビにはルーヴル別館ができたり、美術・学術分野でもその注目はすごい! やはり、オイル・マネー。「お金のあるところに、美術品は集まる。それも、西回りで」と言われているように、ヨーロッパからアメリカへ、そして、日本へ。今やドバイ。しかし、芸術作品が注目されている中国、インドへ、ちょっと逆回りになりますが、世界の作品が集まり始めるのも、そう先ではないのかもしれないですね。アートとお金の関係・・・アート作品を個人所有する気持ち資金もない私は、せめて美術館に足繁く通おうと思っています(やせ我慢・・・)。
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土地持ち、資源持ち、頭脳持ちの世界。 西回りでも 東回りでもいいから 品良くお願いしたい、何事も。
個人で購入したとしても、公開してほしいものですよね。世界の遺産なんですものね。より多くの人で文化遺産に触れる喜びをシェアしたいものです。
相変わらず作り置きでの更新で恐縮です。でも、少々のタイムラグは問題ないと思われる話題を紹介させてもらっています。ご訪問ありがとうございます。
先日も中国の現代アートが億単位で取引されているという報道がありましたが、イランやインドがそんなに注目されているとは知りませんでした。
アブダビにルーブルの別館ですか?ビックリ!
経済はともかく、政治と芸術は別個に考えたいと思いますが・・・・。
当方も美術館通い専門です。
今週は、上野、六本木と秋は忙しいです。
アブダビにはルーヴル美術館とグッゲンハイム美術館。ルーヴルはすでにアトランタの美術館とも提携済み。ポンピドー・センターは上海へ。ロダン美術館はブラジルへ。国際化と呼ぶべきなのかどうか・・・