“Africa Paradis”(アフリカ・パラダイス)という映画を観てきました。フランスに住んで、白人からの有形無形の差別を感じてしまっている有色人種なら、誰もが一度は夢想してしまうに違いないことを、ついに映画化してしまったという作品です。

時は2033年。アフリカは「アフリカ連邦」としてひとつにまとまり、経済等も急成長。いまや世界の中心のひとつに。一方ヨーロッパは、かつての栄光や今いずこ。疲弊しきった社会で、職もなく、教育もおざなり。まったく良いところなしの社会に成り果て、アフリカ移住のためのビザを求める多くの人が大使館前に長蛇の列を作る有様。しかし、いくら学歴があろうと、フランスの教育レベルは低いから同等とは認められず、アフリカ連邦に必要な人材として認められない、つまり移住が認められない。そこで、不法移民になってでも職のため、暮らしていくためにアフリカに渡りたいという人たちが現れる。主人公カップルもそうして不法移民としてアフリカにもぐりこむ。
どうです、まったく立場が逆転しています。アフリカに着いてからも、上手いこと拘置所から逃げ出すものの、たどり着いたのは白人専用の街にある劣悪な住環境。たまたま交通事故で死亡した別人の滞在許可証と労働許可証を入手し、働き場所を得るが、そこは危険な作業現場。それでも、失業よりはまし。また収入が得られるようになったので少しはましな住まいをと探すが、事前にアポを取って訪問するにもかかわらず、現れたのが白人と分かると門前払い。白人専用の街から抜け出せない。こうした現状に不満を抱く白人たちがデモを行うが、アフリカ連邦内の政治抗争に利用され、死者まで出る流血の騒ぎに・・・。

(この映画を紹介するLiberation・リベラシオン紙です)
見事に現状のフィルムを反転して見せてくれました。映画としては、ストーリーの細部がご都合主義だったり、大道具・小道具がとても安っぽかったり、いまいちのところも多々あります。映画としての出来は確かにもうちょっとなのですが、誰もが思いつきそうなことを映画化し、かつ独立系2館だけとはいえ(大手配給会社は受け入れず)上映するまでこぎつけたのは賞賛に値すると思います。しかし、それにも拘らず、見終わった後、本当にいい映画を観たとは思えませんでした。なぜか。面白い映画だけれど、出来れば現状の裏返しではなく、現状の解決を示してほしかった・・・。差別されるのが有色人種から白人に代わっただけで、人種による差別が存在するのは同じ事。これでは解決にならない。理想主義といわれるかもしれませんが、人種・肌の色などによる差別をなくす方向で考えてほしかった。現状の指摘だけなら、いっそ今の社会をパロディとして笑い飛ばすだけの強さ・明るさがほしかった。でなければ、やはりアフリカ側からの問題解決への第一歩を示してほしかった・・・。ないものねだりかも知れませんが、そう思ってしまいました。
Africa Paradis(フランス・ベニン合作、2006)
監督:Sylvestre Amoussou
出演:Eric Ebouaney, Stephane Roux, Sylvestre Amoussou
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時は2033年。アフリカは「アフリカ連邦」としてひとつにまとまり、経済等も急成長。いまや世界の中心のひとつに。一方ヨーロッパは、かつての栄光や今いずこ。疲弊しきった社会で、職もなく、教育もおざなり。まったく良いところなしの社会に成り果て、アフリカ移住のためのビザを求める多くの人が大使館前に長蛇の列を作る有様。しかし、いくら学歴があろうと、フランスの教育レベルは低いから同等とは認められず、アフリカ連邦に必要な人材として認められない、つまり移住が認められない。そこで、不法移民になってでも職のため、暮らしていくためにアフリカに渡りたいという人たちが現れる。主人公カップルもそうして不法移民としてアフリカにもぐりこむ。
どうです、まったく立場が逆転しています。アフリカに着いてからも、上手いこと拘置所から逃げ出すものの、たどり着いたのは白人専用の街にある劣悪な住環境。たまたま交通事故で死亡した別人の滞在許可証と労働許可証を入手し、働き場所を得るが、そこは危険な作業現場。それでも、失業よりはまし。また収入が得られるようになったので少しはましな住まいをと探すが、事前にアポを取って訪問するにもかかわらず、現れたのが白人と分かると門前払い。白人専用の街から抜け出せない。こうした現状に不満を抱く白人たちがデモを行うが、アフリカ連邦内の政治抗争に利用され、死者まで出る流血の騒ぎに・・・。

(この映画を紹介するLiberation・リベラシオン紙です)
見事に現状のフィルムを反転して見せてくれました。映画としては、ストーリーの細部がご都合主義だったり、大道具・小道具がとても安っぽかったり、いまいちのところも多々あります。映画としての出来は確かにもうちょっとなのですが、誰もが思いつきそうなことを映画化し、かつ独立系2館だけとはいえ(大手配給会社は受け入れず)上映するまでこぎつけたのは賞賛に値すると思います。しかし、それにも拘らず、見終わった後、本当にいい映画を観たとは思えませんでした。なぜか。面白い映画だけれど、出来れば現状の裏返しではなく、現状の解決を示してほしかった・・・。差別されるのが有色人種から白人に代わっただけで、人種による差別が存在するのは同じ事。これでは解決にならない。理想主義といわれるかもしれませんが、人種・肌の色などによる差別をなくす方向で考えてほしかった。現状の指摘だけなら、いっそ今の社会をパロディとして笑い飛ばすだけの強さ・明るさがほしかった。でなければ、やはりアフリカ側からの問題解決への第一歩を示してほしかった・・・。ないものねだりかも知れませんが、そう思ってしまいました。
Africa Paradis(フランス・ベニン合作、2006)
監督:Sylvestre Amoussou
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