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50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

ロダンとカンボジア。

2006-08-16 03:32:48 | 美術・音楽
彫刻家・ロダンと東南アジアのカンボジア。どんな接点があるのでしょうか。

9月17日まで、ロダン美術館で「ロダンとカンボジアのダンサーたち」(Rodin et les danseuses cambodgiennes)という特別展が行われています。

時は、ちょうど100年前。1906年7月にパリでカンボジアのダンサーによるパフォーマンスがありました。それを一目見たロダンはすっかり魅了されてしまい、カンボジアに帰る彼女たちをマルセイユまで追いかけ、そこで彼女たちを題材におよそ150点に及ぶ素描を描いたそうです。

急いで追いかけたため、ろくな絵の道具も持っていかなかったため、鉛筆で描き、家に戻ってから水彩絵の具やグアッシュで彩色したそうです。彼女たちが踊る際の手や指の微妙な動きには特に興味を惹かれたようで、手と指だけの作品も多く含まれています。

当時66歳だったロダンにとって、まさに最後の情熱ともいえるほどの打ち込みようだったようで、カンボジアのダンサーを称して、ギリシャ人に匹敵する古代文化の伝承者だと言っているほどです。

今回の特別展では、ロダン美術館所蔵の123点とともに、当時の写真(ロダン、ダンサー、カンボジア国王)も展示されており、ロダンと東洋の邂逅が分かりやすい企画展になっています。

なお、西洋の芸術家と東洋の出会いといえば、ロダン美術館にあるゴッホのタンギー爺さん(Le Pere Tanguy)。背景にゴッホが大きな影響を受けた浮世絵が何点も描かれています。

西洋と東洋、芸術においては良い影響を与え合ってきたようです。

音楽のお祭り。

2006-06-23 00:08:22 | 美術・音楽
21日は夏至。そして、フランスや多くの国では、la Fete de la musique(音楽のお祭り)が行われました。最近は日本でも一部で行われています。

フランス人は2人に1人は何らかの楽器が弾けるほど音楽が好きなんだそうですが、なかなか生の音楽に触れる機会がない。そこで25年前に多くの場所で、しかも無料で音楽に接する機会を提供しようと始まったのがこの「音楽のお祭り」。

6月に入ると、いろいろな案内が貼り出されました。待ち遠しいお祭りなのでしょうね。

これはメトロの駅に出ていた、21日の深夜運行のお知らせ。メトロの何本かの路線や、一部RERやバスが深夜運行するそうです。

そして、当日の案内。

これはフリーペーパー"metro"の21日付けの特集。パリ市内だけでもこれだけのコンサートが行われます。

中には、このリュクサンブール公園でのコンサートのように、印刷物を用意して、来場を促しているイベントもありました。
そして、21日、夜・・・

まずは、Palais Royal。特設ステージで、アフリカ系音楽の演奏です。椅子等はないので、聞く方は立ったままか座り込んで聞くことになります。観客は老若男女、年齢性別に大きな差はありません。しかし、立錐の余地なしといったほどではなかった。

市庁舎前では、子供合唱団のコンサート。親の世代の人が聞いていました。しかし、降り出した小雨の影響か、聴衆は少なかったですね。

ノートルダム寺院では、パイプオルガンのコンサート。じっと聞き入っている人が多かったですね。

企画されたコンサート以外にも、ノートルダムの前で演奏しているこの子供のように、自ら参加している音楽好きもいます。

クラスの有志で集まったようなグループもいました。
そういえば、若い人たちの姿がいまいち少ないと思っていましたら、いました。

サン・ミシェル、9時半。人、人、人です(特に演奏は行われていないのに)。そして、人が集まるところに必ず出るのが・・・

そう、屋台です。日本もフランスも同じですね。煙っているような画像ですが、実際、串焼きの煙でいったいが煙っていました。

そして、名前を漢字で書く商売。風船売りのおじさんもいました。さすがに綿菓子売りはいませんでしたが。

若い人を中心にこのお祭りが活況を呈するのは夜遅くなってから。だから交通機関も深夜運行するんでしょうね。そういえば、午前3時過ぎ、ガタガタいう音で目が覚めると、同じ建物の内にその頃帰ってきた人がいたようです。

それで思い出したのが、北欧の夏至祭りや、ケルト・ゲルマン民族の聖ヨハネ前夜祭(6月23日夜)。「ケルト・ゲルマンの原始宗教において、その日の前夜に日本のお盆のように、魔女、妖精、死霊などの超自然が異界からいっせいに地上に姿をあらわし、それを肉眼でも見ることができると信じられていた(略)。その影響で、この聖ヨハネ前夜祭には、人々はある種の憑依状態に陥り、踊り狂ったり、性的乱交にふけったりすると信じられた。」(鹿島茂著・『フランス歳時記』)

夏至の夜に行われる"la fete de la musique"。実態を見ていると、25年前に始めたときの理由はともかく、また本当に音楽を楽しみにしている一部の人を除いて、今となっては、音楽は刺身のつまで、音楽に名を借りた夏至のお祭りのような気がしてなりません。21日の夕方以降、メトロに乗り込み中心部へ向かう(異常な混みようでした)若い人たちの異様な目の輝きを見るにつれ、そんな印象を持たざるをえませんでした。

美術館の夜

2006-05-21 04:03:17 | 美術・音楽
20日は、“La nuit des musees”(美術館の夜)。美に触れる機会をもっともってもらおうと、多くの美術館が夜間無料開放されました。



昨年から始められたようで、1,250の美術館が参加し、約100万人が美術館へ。今年は、フランスだけで1,700の美術館が参加し、ヨーロッパのおよそ30カ国が実施するそうです。

どこにしようか迷ったのですが、ルーブルやオルセーはきっとすごい行列でしょうから、ピカソ美術館に行ってみました。



18:15~23:15が入場無料で、24:00に閉館。入り口両サイドにきちんとポスターが貼られていました。しっかり組織されたイベントのようです。では、中へ。



すごい行列です。18:20に着いたのですが、40分待ち。19:00に入館。中もすごい人ですが、誰も走ったり大声を出したりしないので、わりとしっかり見れました。

ヨーロッパ、特にフランスでは、こういった文化イベントがほんとに多いですね。しかも新しい企画を次から次へと実施していく。しっかりした企画と実施力です。それだけ人材と予算を文化関係に振り分けているんでしょうね。このイベントも文化情報省が音頭を取っているようです。日本も、自国の文化に誇りを持っているのであれば、こういった点はしっかり見習うべきだと思います。

パリで、日本のアートに会う。

2006-04-09 00:49:51 | 美術・音楽
5月21日まで、14区のカルチェ財団現代美術館で「横尾忠則展」が開催されています。



グラフィックデザイナーとして大活躍されてきた横尾氏が、ピュアアートを描くとこうなる、といった作品展です。グラフィックデザイナーとしての作品しか知らなかったので、ちょっと驚きです。

その作品に囲まれながら、“記憶と想像が、時・空を超えていく”、そんな素人印象を持ちました。浅田次郎氏の作品(特に「地下鉄に乗って」)の挿絵にしたらぴったり来るような感じもしますし、夢野久作氏の世界に近いものもありました。

もちろん、グラフィックを髣髴とさせる作品もあり、それはそれで懐かしさを覚えました。

会場は、カルチェ財団美術館。

カルチェといえば、その売り上げに日本人・日本マーケットは多大な貢献をしているのでしょうから、このような日本美術を紹介する企画展はもっともっとやっていいのではないでしょうか。早くしないと、中国市場に抜かされてしまいますから(もう抜かれている?)、ぜひ急いでやってほしいものです。

なお、会場内受付に片言の日本語を話すフランス人男性がいました。日本人とちょっと日本語が話せてうれしそうでした。行かれたら、声をかけてあげてください。

彫刻は、力仕事だ!?

2006-03-20 01:37:50 | 美術・音楽
19日、“Los Angeles 1955-1985”というアメリカ西海岸の現代美術展をポンピドーセンターへ見に行ったのですが、入場無料の第一日曜でなくても休日は長蛇の列。そこで、同じ敷地内にある、“国立現代美術館・アトリエ・ブランクーシ”に方向転換。



ブランクーシ(1876-1957)は、ルーマニア生まれ。28歳のときからパリに住み、彫刻作品を発表。アトリエをそのまま公開することを条件に作品とアトリエをフランスに寄贈する旨、遺言に残していました。その結果、今こうして公開されているわけです。因みにここは入場無料です。



そのアトリエ、作品が一見雑然と並んでいますが、それが却ってブランクーシが今にも作品作りを始めそうな、いかにも芸術家のアトリエといった雰囲気になっています。

作品もさることながら、興味を惹かれたのは、壁に沿ってズラーッと並んだ道具類。ノコギリやノミなど、大工仕事のような道具が並んでいます。彫刻は力仕事だったんだ!と、素人感想が思わず口をついて出てしまいました。

第一日曜日は、美術館の日。

2006-02-07 02:09:17 | 美術・音楽
美術館の日なんて祝日はありませんが、毎月第一日曜日にはいくつかの美術館で入場が無料になります。

その代表格がオルセー美術館。いつもは7.5ユーロの入場料が無料に。他にも、国立近代美術館(ポンピドーセンター内)、ピカソ美術館、ドラクロワ記念館、ギメ美術館などがそうです。

5日は2月の第一日曜日。どんなに混んでいるか、オルセー美術館に行ってきました。

午後1時頃に着いたのですが、なんとご覧のとおりの長蛇の列。1時間待ちだとか。混み具合を見るのが目的でしたので、入場は即あきらめ。並んでいる人たちを眺めて来ました。

観光にはオフシーズンのせいか、地元フランスの人が多いようでした。こちらの人は、列の中でどんなに待たされても、おしゃべりしながら気長に待っています。スーパーでも、郵便局でも、カフェテリアでも。焦らないのか、あるいは内心怒っていてもそれを表に出さないだけなのか・・・。これは、周りのフランス人に聞いてみる価値がありそうです。

トルバドール・コンサート

2006-01-31 01:03:07 | 美術・音楽
29日夜、中世美術館で行われたトルバドール・コンサートへ行ってきました。

トルバドール(les troubadours)とは? 12・13世紀に活躍した吟遊詩人。オック語が話されていた地域(ロワール川以南の南仏の大部分)で、宗教音楽から逸脱した世俗的な意味合いの詩にメロディーをのせ、かつ自ら楽器を演奏しながら歌った人たちで、その歌の多くは女性賛美だった。ちなみの北フランスではオイル語が話され(オック、オイルはともに今日のウイ)、その地域の吟遊詩人はトルベールと呼ばれています。

この日のトルバドールたちは、アンサンブル・ローザサルバージュ(Ensemble RosaSalvatge)。南仏ぺリゴールに本拠を置く中年男性3人組で、さまざまな楽器を演奏しながら愛の歌を朗々と、切々と歌い上げました。バイオリン、ベース、ギター、マンドリンなどの先祖や、バグパイプ、三弦、尺八の親戚みたいな楽器など(素人なので的確な表現ができず残念!)、古楽器を各人が何種類も演奏します。

9曲の構成でしたが、各曲のはじめに今のフランス語で詩の内容が説明され、その後でオック語の歌が披露されました。「原本に忠実に、しかしメロディの豊かさ、詩の官能的な美しさ、地中海の香りを十分に加味した」美しい演奏でした。

会場は、古代ローマの首なし彫像が並ぶ中世美術館の一室で、まさに過去へタイムスリップしたような1時間半でした。

*Ensemble RosaSalvatgeのホームページは、
 http://www.mick-rochard.com/rosa-salvatge/rosasalvatge.htm 
(フランス語)3人の顔写真も見れます。
*上の写真を拡大して見てください(この記事のタイトルをクリック)。楽器の一部がかろうじて見えます。

ノートルダム・コンサート

2006-01-26 00:32:40 | 美術・音楽


24日夜、ノートルダム大聖堂で行われたパイプオルガンのコンサートへ行ってきました。

演奏は、コンセルバトワール(Coservatoire National superieur de Musique de Paris)の学生4人。演目は、バッハ2曲とシャルル・トゥルヌミル、、ルイ・ヴィエルヌ、マルセル・デュブレ。即興を取り入れた演奏でした。入場は15ユーロ。ノートルダムはこのような催し物を時々やっています。この日の入りは超満員というほどではありませんでしたが、みんな熱心に聴き入っていました。



教会で行われるパイプオルガンのコンサート。神の啓示に打たれた、という経験をした方々のエッセイを読んだことがありますので、もしかして自分も、と淡い期待をして行ったのですが、全くなかったですね。ただ、黒の濃淡だけになっているステンドガラスとやさしい光の中に浮かび上がる十字架は、それはきれいでした。

この雰囲気で魂が揺さぶられないのは、演奏のせいなのか、自分の魂がみずみずしさを失っているのか。間違いなく後者ですね。サラリーマン25年の間に干からびてしまった魂に水を上げるのも、このフランス滞在の隠れた目的の一つです。

セーヌ河畔の音楽会。

2006-01-22 03:17:56 | 美術・音楽
ようやく、試験が終わりました。

いや~、今日(21日)の語学の試験、難しかったです。特にレジュメがよく分かりませんでした。La fete de la musique(音楽祭)など新しく始められたフランスのお祭りに関する背景・意義などがその内容だったのですが、難しかった!

でも、終わったことはもう仕方がない、と思いながらトボトボ歩いていると、セーヌ河畔からにぎやかな音楽が・・・。

駆け寄ってみると、この寒い中、なんと、バンドが演奏しているではありませんか。わざわざそこまで下りて聞いている人、橋の上から聞いている人。そういえばメトロの通路でも、時にはメトロの車中でも演奏している人たちがいますし、パリでは音楽が非常に身近にありますね。

試験も終わったことだし、次の学期までの3週間、コンサートにでも行ってみましょう。

日本人は、ルーブルがお好き。

2005-12-24 18:13:35 | 美術・音楽
久しぶり、ほんとに久しぶりにバトームシュに乗りました(10月、古い話で、ごめんなさい)。

相変わらず乗客は多かったですが、チケット売り場で行列を作るほどではなかったですね。

さっ、動き始めました。説明のアナンスが入ります。まずフランス語、当然ですね。続いて、英語、ドイツ語、スペイン語。その後、どっと笑いが漏れました。中国語でした。やはり、西洋人にとっては異質な言語なんでしょうね。でも、中国語でおしまい。日本語はありません。ま~、中国人観光客が多いですから、無理もないですね。大きなよく通る声で話し、よい写真を撮るためには座っている他の乗客のまん前に立ち続け・・・しかも団体ですから、目立ちます。

しかし、1度だけ、ワンフレーズだけ、日本語の説明があるんです。「左に見えますのがルーブル美術館です」 この一言が日本語である事がわかるのは日本人だけですから、特に問題はないのでしょうが、どうしてルーブルだけ日本語なのでしょう。日本人観光客はルーブルを見て、ブランド品を買えば満足、と今でも思われているのでしょうか?