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50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

ユマニスト派写真展。

2007-01-14 02:45:38 | 美術・音楽
国立図書館のリシュリュー館で、“La Photographie Humaniste 1945-1968”(ユマニストの写真・1945~68年展)という展示会が行われています。



以前ご紹介したことのある写真家たちの作品が並んでいます。ドワノー(Doisneau)、ロニス(Ronis)、ブラッサイ(Brassai)、ニエプス(Niepce)、ブレッソン(Bresson)、そしてウェイス(Weiss)、ボヴィス(Bovis)・・・第二次大戦の前後から70年代、80年代までに活躍した写真家たち。パリとそこに生きる人々を愛情いっぱいにレンズで捉えたカメラマンたちで、ユマニスト派(l’ecole humaniste)といわれています。


会場入り口ですが、作品にぴったりの雰囲気で、期待させてくれます。


細長いスペースにうまく展示されています。ぐる~っと一周すると全部見れるようになっています。


説明にも記されているように、古きよき時代へのノスタルジーと来たるべき新しい時代への楽観的な気持ちが一体となった戦後のパリ、そこに生きる市井の人々をモノクロで捉えた写真の数々です。


右は、逆光の中を駆け出した男性、有名なWeissの1点です。そしてポスターにも使われている霧の煙る早朝のパリを職場へ向かう人々。


これは、ドワノーの写真を基に、『枯葉』などでおなじみの詩人・ジャック・プレヴェールが作ったコラージュです。人の頭がみな奇怪な動物になっています。フランスの芸術史を振り返ると、いつの時代にも、同時代の芸術家同士のジャンルを越えた交流が盛んだったことに驚かされます。画家、作家、音楽家、写真家・・・日本ではコラボなどといって共同制作がちょっと前から流行っているようですが、フランスではロマン派をはじめ昔から盛んであり、今も続いているようです。


ドワノーの写真でパリを特集した“Life”(ライフ誌)です。戦後に出版された号ですが、見出しがいいですね。“In Paris, young lovers kiss wherever they want to and nobody seems to care”(パリでは、若い恋人たちはどこであろうとキスをし、誰も気に留めないようだ)・・・アメリカ人から見ても、やはりこう思えるようです。フランスの伝統ですね。


ここには、アンリ・カルティエ=ブレッソンの言葉が記されています。“La photographie, une petite arme pour changer le monde”(写真、世界を変えるための小さな武器)・・・写真、それ自体は小さいけれど、世界を変えることができる。

会場に展示されている写真を眺めていると、世界を変えるまでは無理にしろ、見た人にほんの少しでも感動を与えられるような写真を撮りたいと思えてきます。


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『ヴェニスと中東』展。

2007-01-07 02:10:07 | 美術・音楽
5区の東はずれ、パリ第7大学とセーヌ川の間に“l'institut du monde arabe”(アラブ世界研究所)があります。


ここで“Venise & l'Orient”(ヴェニスと中東)という展覧会が行われています。


昨秋からメトロの駅などに案内ポスターが貼られ、大きな話題になっています。展示内容は、14~17世紀におけるヴェニスと中東の関係を絵画、工芸などで紹介するものです。ヴェニスがいかに中東と深く、親密な関係だったか―――。


ヴェニスの画家によって描かれた作品にも中東の人たちがしばしば登場します。画家の中にはイスタンブールなどに滞在し、中東をモチーフにした作品を多く残した人もいます。逆に、ヴェニスに来ている中東の人をモデルに描いた画家も多くいます。これらの作品により、当時の中東の人たちの衣装など、風俗もうかがい知ることができます。


この絵は、ヴェニスの画家によって描かれたスルタンの肖像画として最高の傑作といわれています。


工芸の世界でも中東から入ってきたものが多く、当時の中東の文化水準の高さがうかがい知れます。陶磁器、絨緞など、多くのものがヴェニスを入り口に西欧にもたらされました。


当時のヴェニスの有力者たちは子息を中東に留学させ、アラビア語や会計学、交渉術などを学ばせたといいます。文化の進んだ中東へ勉強に行かせたわけです。そうした中で、アラビア語の単語が西欧のコトバの語源になったり、スパイス、楽器など生活に密着したものが西欧の暮らしに溶け込んでいったりしました。また、中東を仲立ちに、中国やアジアの文化も西欧にも伝えられました。

このようにヴェニスを窓口とした西欧と中東との交流が活発な時期にはこの地域に平和が続いたそうですが、交流が途絶えたりすると、紛争が起こりやすくなったと解説されています。十字軍というお互いにとっての悲しい歴史もあり、その関係は常に順風満帆というわけには行きませんでしたが、交流の盛んな時期には平和を享受することができた―――。いかに相互の交流が大切か、そのことを如実に物語る歴史だと思います。市民レベルから政治レベルまで、しっかり相互交流が行われている間は平和が保たれた、というこの歴史の教訓は、今に生かされるべきではないでしょうか。そんなことも、この展覧会は訪れる人に語りかけているのではないか・・・そんな気がします。

“Venise & l'Orient”、2月18日まで開催されています。

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アンリ・カルティエ=ブレッソン。

2007-01-06 00:04:36 | 美術・音楽
ご存知ですか、写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソン。1930年代以降を中心にとても素敵な写真を撮ったフランス人のカメラマンです。彼の作品を中心とした写真美術館がアンリ・カルティエ=ブレッソン財団の運営でモンパルナスにあります。


大きくない建物ですが、2~4階が展示スペースで、外からも見える螺旋階段がとても素敵なアトリエです。開館は2003年の5月。


1908年生まれで2004年に長寿を全うしたカルティエ=ブレッソンは、ライカの35ミリレンジファインダーカメラで(4階に展示されています)、世界の人々を、そして人々が作り出す「時代」を見事に切り取りました。モノクロ写真ですが、その陰影がとてつもなく美しく、人々の一瞬の表情を逃さず写し撮った作品は、時代を超えて「人間」を白日の下に晒すとともに、その時代をくっきりと写し出しています。1947年に、ロバート・キャパやデヴィッド・シーモアと国際写真家集団「マグナム・フォト」を創設したことでも知られています。


多くの写真集や彼の足跡を追う本が出版されています。上の写真はこの美術館の受付脇にある書架です。帰りに思わず手にとって見る人が多くいました。


この日行われていた展示は、“Scrap Book”。1932年から1946年に撮られた写真の数々で、同じタイトルの写真集が出版されています。また、1947年にニューヨークのMoMA(近代美術館)でも展示された作品です。全部で360点。撮影場所は、フランス、メキシコ、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリスなど。展示スペースはさすがに撮影禁止でしたので、お見せできないのが残念です。

例えば、手前に建物とその影、中央で影から日のあたる場所に変わるところに佇む少年と荷車。絶妙のバランス、アングルです。いくら見ていても飽きませんでした。また、スペインでしょうか、漆喰壁の家々の間の階段を駆け上がる少女。モノクロなのに、壁の白、空の青、ドアや窓枠の濃紺が見事に目の浮かんでくる作品。あるいは、戦後、ゲシュタポに協力した女性を糾弾する人々の敵意に満ちたまなざし。どれも小さな写真なのですが、そこには大きな「美」が、するどい「批判精神」が満ちています。スナップ写真でも、これだけ「時代」を写し出せる。いや、スナップだからこそ、時代を、人間を鋭く切り取ることができるのかもしれない。現実ではなかなか視覚できないイメージを見事に捉えています。また一人、先生が増えました。

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手紙博物館。

2007-01-02 00:15:20 | 美術・音楽
きのうの2007年最初のブログは郵便配達でした。そこで二日目は、配達される郵便に関する話題をご紹介しましょう。

パリの6区、オデオン(Odeon)の近くに「手紙博物館」(Musee des Lettres)があります。手紙を中心に、作家・画家・作曲家・政治家・音楽家などの有名人が残したさまざまな直筆を展示している博物館です。

住所は、8 rue de Nesle。小さい通りなのですが、rue Dauphine(ドフィーヌ通り)のセーヌ寄りをちょっと入ったところにあります。しかも道に面して小さな表示(バナー)しかないので、ちょっと分かりにくい場所です。

でも、知る人ぞ知るといった、秘密めいた雰囲気もあります。


入り口はおしゃれですね。手前がギャラリーになっていて、期待できそうなアプローチです。


ドアを開けると、おしゃれな雰囲気なのですが、なにしろこのような薄暗さ。後で聞いた話では、インクで書かれた直筆を痛めないように、照明を極力落としているそうです。ただし、人が近づくと自動的にスイッチがオンになり、文字を読むには全く問題ありません。ただし、撮影は一切厳禁でした。

で、肝腎の展示直筆ですが、はっきり言って、面白い! まず、中2階の特別展示コーナー。12月に行った際には、コクトー展でした。ジャン・コクトーの原稿、手紙、校正、デッサンなどすべて直筆のものが展示されています。おなじみのコクトー独特の横顔の絵もあります。サイン本も展示されています。『オルフェ』・『詩人の血』・『恐るべき子供たち』などの名作とともに、コクトーが薄暗がりからひょっと現れてくるような気さえしてしまいます。

1階には作家や画家たちの直筆が並んでいます。サンテクジュペリ、ヴェルレーヌ、メリメ、ダリ、ローランサン、ルノワール、フジタ、ロダン・・・彼等のデッサンや挿絵つきの手紙などが数多く展示されています。

半地下には、歴代の王、政治家、作曲家、科学者の直筆。ド・ゴール元大統領の手紙は、行間が広く、まるで添削してくれと言っているようです。授業で作文をこれでもかというくらいにいつも添削されている身には、どうしてもそう見えてしまいます。14世紀や15世紀の王たちの手紙は、まるで写本本のよう。同じ文字は判で押したようにすべて同じに書かれ、まるで印刷、実にきれいです。また、ルイ、アンリといった王様たちのサインは、なん世のものでも、その前の名前が同じなので同じようなカタチのサインになってしまっています。そして、ナポレオン1世の手紙。戦場から送った手紙は、なんと暗号で書かれていました。すべて数字の羅列。もし手紙が敵の手に落ちても情報が洩れないように暗号化しているのでしょう。面白い発見でした。また、アインシュタインの数式の並んだノート、モーツァルトの『フィガロの結婚』の直筆楽譜、ベートーベンの同じく直筆楽譜、プッチーニの楽譜入りカードなどが展示されています。

これら以外にも多くの著名人の直筆が展示されています。今でも企業が人材を採用する際、筆跡でその人の性格を判断することもあるフランス。だからこそ、こういった直筆だけを集めた博物館も存在するのでしょうね。じっくり見ていくと、なんとなくその有名人の性格の一端が文字の背後から浮かび上がってきそうです。

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蘇る、黄金の国。

2006-12-31 00:10:19 | 美術・音楽
黄金の国といっても、ジパング、日本のことではありません。THRACES、日本語ではトラキア、どこかで習った記憶はありませんか。紀元前数千年頃から(最近の発掘では紀元前4,000年頃の金製品が見つかっています)バルカン半島に住んでいた民族で、紀元前6~3世紀にかけては文化も成熟し、ホメロスやヘロドトスにも称えられる一大勢力になっていたそうです。その民族が残した金製、銀製の工芸品がブルガリアで多く発掘されています。その作品がいま、パリのジャックマール・アンドレ美術館(Musee Jacquemart-Andre)で展示されています。



まずは、この美術館のご紹介から。銀行家で大資産家であったエドアール・アンドレとその妻で画家でもあったネリー・ジャックマールが集めた美術品を、8区、オスマン大通り(Boulevard Haussemann)に面した彼等の豪邸に展示しています。

イタリア美術を中心に充実した収蔵品です。


また、下の写真(寝室)のようなプライベートルームも公開しています。

なお、ダイニングルームは、カフェになっています。優雅な気分になれる空間です。

さて、今回の特別展、タイトルは、“L'OR des THRACES~Tresors de Bulgarie”(トラキアの金~ブルガリアの至宝)。とても紀元前6~3世紀、つまり2,600~2,200年も前の作品とは思えない、精巧な作品です。

金製の装身具ですが、実にきれいです。

これは水入れと装飾品でしょうか。細かいところまで見事に制作されています。

これは銀製。美しいフォルム。実に素晴らしい!

こうした素晴らしい工芸品を残しながら、歴史の波間に消えていってしまった民族。その遺品が発掘されるに従い、偉大さが蘇ってきます。ヘロドトスによれば、民族としての人口は多かったにもかかわらず小国に分裂していたため、政治的・軍事的には大国になれず、他の民族に征服され、同化していってしまったそうです。ギリシア神話ではオルフェやディオニソスがトラキアの出身とか。もしかすると、このような民族、他の地域にもいるのかもしれないですね。歴史の闇の中から蘇る黄金の国―――ロマンを感じさせます。この展示会、1月末までの開催です。

明日から、2007年。新しい年が、皆さんにとってより輝かしいものになりますように。良いお年をお迎えください。


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『レンブラント~光と影』展。

2006-12-28 00:09:02 | 美術・音楽
オランダの画家、レンブラントが生まれたのが1606年。2006年は生誕400年。それを記念して、フランス国立図書館のリシュリュー館でレンブラントの版画を集めた作品展が行われています。

その作品をご紹介する前に、まずは会場のご紹介を。ベルシー(Bercy)にある新しい国立図書館には時々行っているのですが、この古いほうは初めてでした。

場所は、ルーブル美術館とオペラ・ガルニエのちょうど中間ほどで、少し東側。58, rue de Richelieuが住所です。古いのですが、石畳の中庭と、それを取り囲む建物が、伝統と知性を感じさせてくれます。


入り口の上には丸い壁時計があり、同じ時計からの連想で、なんとなくオルセーに近い印象を抱いてしまいます。


建物内部も、歴史を感じさせる風情。なかなかの雰囲気ですね。勉強・読書用の部屋もあるので、ここも使えそうです。

さて、肝心のレンブラント。ラ・トゥールなどと同じように、光と影の画家とも言われています。今回の作品は、版画で光と影を表現するとどうなるか、というテーマです。150点が展示されています。



肖像画、風景、日常生活の断面といったテーマごとにまとめられています。また、同じ作品のバリエーションも展示されています。例えば、肖像画でも背景の壁に装飾があるものとないもの。比較するとその差が光と影の表現にどう影響するかがよく分かるようになっています。


また、オリジナル銅板も1点だけですが展示されています。当然ですが、出来上がった作品とは左右が逆転しています。


150点、素晴らしい作品の数々なのですが、個人的好みを言ってしまえば、やはり油絵のほうが光と影の表情が豊かで、感動も大きいような気がします。ただ、偉大な画家であることには変わりありません。

10月10日から始まっていたこの『レンブラント~光と影』展、残念ながら1月7日までの開催です。


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自由のパリ~写真展

2006-12-20 00:35:38 | 美術・音楽
パリ市庁舎で開催されている“DOISNEAU Paris en liberte”(ドワノー~自由のパリ)を見てきました。以前ご紹介したウィリー・ロニス(Willy Ronis)と同じように20世紀のパリとそこに住む人びとをモノクロ写真で捉えたカメラマン、Doisneau(ドワノー)の作品展です。


10月から開催されているのですが、すごい人気で、1時間や1時間半待ちが普通。クリスマス直前で少し空いたので、ようやく見ることができました。


会場内は、モノクロの写真をより印象深く見せるため、スポット照明のみで、全体には薄暗い空間になっています。

この写真家、はじめてだと思っていたのですが、1点、以前見たことのある作品を見つけました。

ノートルダム大寺院の上から撮った写真で、彫刻の一部が左から突き出し、下にはセーヌとバトームッシュ。見たことありませんか?

このドワノー氏、はじめはルノーで工業カメラマンとして働いていたのですが、パリの街に魅せられ、夢中なっているうちに、遅刻や欠勤が多くついに馘首。その後フラーとなり、大好きなパリとそこに暮らす市井の人々をユーモラスに、愛情をこめて撮影するようになったそうです。


全く同じ場所から撮影された2枚の写真。二人がいる時といない時・・・二人は何を話し、どこへ行ったのか、見る側が勝手に物語を紡いでいくことができそうな一組の写真です。


ドッキリカメラの写真版。女性のヌード写真を外から見えるようにおいておく。その写真を見た人たちの表情をこっそりカメラに収めた連作。目を剥いてビックリの女性、不機嫌な表情の女性、にやけた中年男性・・・表情豊かなパリの庶民がカメラの中に息づいています。

ほかにも、ドアのベルを押して一目散に逃げ出すパリのいたずらっ子たち、急な雨の中はしゃぎまわる子供たち、そして、移転前の中央市場(Les Halles)で働く人々。多くのパリジャン、パリジェンヌたちが日々の暮らしの中で垣間見せるさまざまな表情がフィルムに焼き付けられています。


Robert Doisneau(ロベール・ドワノー)、1912年~1994年。Willy Ronis、Edouard Boubat、Janine Niepceなどとほぼ同じ時期(1940~70年代)に活躍し、ユマニスト派のカメラマン(les photographes de l'ecole humaniste)の一員に数えられています。

ちょっと前の懐かしいパリ、庶民が生き生きと暮らしていたパリ、シャンソンが聞こえてきそうなパリ・・・パリ市庁舎で2月17日まで開催中です。


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現代美術国際見本市―②

2006-11-06 03:14:27 | 美術・音楽
今回のFIAC、20カ国168の画廊が出展しています。そのせいでしょう、会場では英語が頻繁に飛び交っていました。


さて、私のお気に入りをご紹介しましょう。まずは、なつかしの作品から。20年以上も前からのお気に入り作家の作品にいくつか出会うことができました。


フォンタナです。

リキテンシュタインです。

おなじみ、ウォーホールです。

ご存知、ピカソの作品までありました。

タイと中国に合わせて13年ほど駐在していた間、こうした作品に直接触れる機会がありませんでしたが、好みは変わらないものですね。昔好きだった作家の作品が、今でもやはりいいなと思えます。

後は、今回の展示の中で気に入った作品です。作家の名前も控えずにきましたので、作品だけご覧ください。





この、国際現代絵画見本市、ここグランパレだけでなく、ルーブル(絵画)やチュイルリー公園(彫刻)でも行っていたのですが、歩きつかれたのと、余りにたくさんの作品を堪能したので、1ヶ所だけで退散することにしました。


ところで、上の写真のような展示をしている画商もいました。いくら小品だからとはいえ、この乱雑な展示・・・数で勝負なのかもしれませんが、本当に美術を愛しているのか、疑問に思ってしまいますね。画商といっても、いろいろな人がいるようです。実は、これが一番の発見だったかもしれません。


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現代美術国際見本市―①

2006-11-05 03:30:36 | 美術・音楽
“La 33e Foire Internationale d’Art Contemporain”・・・第33回現代美術国際見本市、略してFIAC。先週末、見てきました。

メイン会場のグラン・パレ(le Grand Palais)です。昔はここでやっていたらしいのですが、最近は場所を移していたため、13年ぶりに本来の本拠地に戻ってきたそうです。日曜日のせいか、長い行列ができていました。5分並んでずいぶん進んだと思ったら、ここから入場まで1時間半!の標識が。諦めようかとも思ったのですが、ほかに急ぎの用事もないので、フランス人がどうやって待つのか見てみるのも面白いと、そのまま列に残っていると、5分後にはここから1時間の標識が。さらに5分後には30分、そしてさらに5分で、見事入場。結局20分行列に並んだだけでした。すごい標識の管理です。


でも、標識でフランス人を笑ったりなんかできないことが、すぐ分かりました。Foir、見本市。慌て者の私は、この単語をいい加減に読んで、現代美術の作品展だろうと思っていました。今年亡くなったナムジュンパイクやその後継者たちのビデオアートなど、最先端の作品が見れるのではと期待してきたのですが、これが、大間違い。見本市、つまり、画廊の展示即売会でした。「現代」の意味も、20世紀初頭以降ということで懐かしいものも多くありました。

でも、せっかく20ユーロ払って入場したので、観るだけは観ていこうと、歩き回りました。貧乏性ですね。



画集もしっかり売っていました。


スポンサーに加わったアルマーニが新しい香水のプロモーションをしていました。

ダヴィンチ・コードに因んだのでしょう、「アルマーニ・コード」。いくらなんでも、アイディアがなさすぎませんか。

画廊からのスタッフが少ないのでしょう、受付を離れられずに、お客さんのいるところで昼食を食べている人もいます。

この雰囲気、中国やタイとそっくりです。

昼食といえば、入場者の中にすしを食べている人が多くいました。どうしたのかと思っていたら・・・

祭り寿司が出展していました。よくスーパーに納入している寿司メーカーなのですが、ここまで出ているとは立派なものです。しかも売れているということは、アートに関心のある人に、寿司ファンが多いということでしょうか。浮世絵以来の日本びいき?

明日は、いくつか作品をご紹介します。


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ギュスターヴ・モロー美術館。

2006-10-25 00:53:45 | 美術・音楽
幻想的な絵で有名なモローの美術館は、パリ・9区、サント・トリニテ教会から程近い場所にあります。住宅街です。

この美術館、もともとはモローが青年期から晩年まで住んだ家ですが、遺言により、多くの作品ともども国に寄贈されています。

晩年にアトリエとして建て増しした3階・4階部分に主な作品が展示されており、2階部分はモローが住んだ当時の調度品とともに小品を展示しています。

まずは、2階部分から。

寝室です。枕元にチェス盤が見えます。眠れない夜など、一人チェスをやっていたのでしょうか。

ダイニングです。食器類にもちょっと変わったデザインのものが多いですね。

ゲストルーム兼書斎です。画家のものとは思えないかっちりした机と多くの書籍です。絵の依頼者などと、ここでどんな話をしたのでしょうか。

さて、3階へ。

多くの絵が、壁一面に、所狭しと飾られています。

また、彫刻作品もあるのですが、骨や筋肉がはっきり見え、表情も苦悩・苦痛にゆがんだものが多く、モローの好みというか嗜好がよく出ているようです。

狭い螺旋階段を上って4階へ。

ここにも多くの作品が展示されています。すべてで、6,000点以上の作品がこの美術館に展示されているそうです。

有名な『出現:Apparition』もこのフロアーにあります。

ここ4階で、面白いものを見つけました。

ストーブのようです。天井が高いので、冬はかなり寒いのでしょう。4階に二つありました。カタチからしてモローの時代のものではないかと思うのですが、モロー自身が使っていたものかどうか、聞きそびれてしまいました。

作家自身、あるいはその遺族によりその家が作品ともども国や市へ寄贈されている、そんなケースが多くあります。相続税対策もあるのかもしれませんが、優れた文化は公共の場で多くの人に触れてほしいという願いもあるのではないでしょうか。入場料も安く、文化に会える機会がとても多くあります。しかも家や調度品もいっしょに見れるので、その暮らしぶりから人となりも想像でき、より多くの視点から作品に接することができます。フランスに住む利点の一つです。

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