竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
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筆ちびてかすれし冬の日記哉  子規

2017-01-16 | 子規鑑賞
筆ちびてかすれし冬の日記哉



明治33年 子規33才

子規は「墨汁一滴」につづいて「仰臥漫録」の日記を残している
下記は「墨汁一滴」の実録


一月七日の会に麓ふもとのもて来こしつとこそいとやさしく興あるものなれ。長き手つけたる竹の籠かごの小く浅きに木の葉にやあらん敷きなして土を盛り七草をいささかばかりづつぞ植ゑたる。一草ごとに三、四寸ばかりの札を立て添へたり。正面に亀野座かめのざといふ札あるは菫すみれの如ごとき草なり。こは仏ほとけの座ざとあるべきを縁喜物えんぎものなれば仏の字を忌みたる植木師のわざなるべし。その左に五行ごぎょうとあるは厚き細長き葉のやや白みを帯びたる、こは春になれば黄なる花の咲く草なり、これら皆寸にも足らず。その後に植ゑたるには田平子たびらこの札あり。はこべらの事か。真後まうしろに芹せりと薺なずなとあり。薺は二寸ばかりも伸びてはや蕾つぼみのふふみたるもゆかし。右側に植ゑて鈴菜すずなとあるは丈たけ三寸ばかり小松菜のたぐひならん。真中に鈴白すずしろの札立てたるは葉五、六寸ばかりの赤蕪あかかぶらにて紅くれないの根を半ば土の上にあらはしたるさま殊ことにきはだちて目もさめなん心地する。『源語げんご』『枕草子まくらのそうし』などにもあるべき趣おもむきなりかし。

あら玉の年のはじめの七くさを籠に植ゑて来こし病めるわがため
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