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【TO(トゥー) -楕円軌道- -共生惑星-】 トゥーッス (`・ロ・)d

2009年11月05日 | 映画
 


「トゥー(ッス) (`・ロ・)d」 と言ってもオードリー春日ではない。『アップルシード』『ベクシル-2077日本鎖国-』でおなじみの曽利監督の最新作である。しかもSF漫画の金字塔とも言える、星野之宣「2001夜物語」の映像化だということで目当てのホラーを横目に2作とも借りてしまった。"3Dライブアニメ"のさらなる進化を魅せてもらえるのか!? 一抹の不安も抱えながらも期待して観賞。


原作全20編の中の2編をほぼ原作ままに映像化、脚色がうまく効いており原作より分かり易くなっている。2作とも40分程度の短編のため、ヘンなサブストーリーの足し込みもなく冗長性のない良い出来。映像はもちろん曽利節炸裂で、パワードスーツやスペーススーツを描かせて右に出る人はいない。

で、この"3Dライブアニメ"への取り組み、個人的には応援させていただいているのですが、本作については失礼ながら2点ほど思うところあり。


まずひとつめ。
「2001夜物語」からなぜこの2編を選定したのか。
3D映像の特徴を生かすためにミッドナイトバズーカを選んだのかな?白い胞子を選んだのかな?であれば本末転倒。原作の中では個人的にはあまり面白くない部類の2編である。この2本ならわざわざ2001夜物語である必要もなく、原作を生かすなら魔王星周辺の話が適当、もしくはロビンソン一族の話を描くべきかと。むしろ2001夜物語を描くならばやぱり第一話から順番に描いてほしい。それぞれ独立した短編としても楽しめるが、あの順番で20編揃ってこそ真価ありというもの。これから続編を続けて映像化していく予定はあるのだろうか。


ふたつめ。
3Dライブアニメ進化したかなぁ?
宇宙の描写やらメカのスケール感、特にミッドナイトバズーカの造形とか目を見張るものがあった。しかしそれは3Dライブアニメじゃなくともよいだろう。まあ問題はやはり人物造形の部分である。たぶん『ベクシル』よりトゥーンシェーディングも進化してるんだろうと思う。表情も細かくシワなども良く出ていた。しかし『アップルシード』からここまで見てきてこの方式そろそろ限界なのかな...とも思う。
アニメは2次元表現であるからこそあの極端な直線的シェーディングという表現方式を生み出し成功を収めた。それを3Dに持ち込んでという取り組みに当初は喝采を送ったものだが、ここまで見てもまだ違和感が取れない。つまりこのシェーディングは結局2次元向けのものなのではないだろうか。少なくともリアルやシリアスを追求していく作風のものには向かない。もっとスムースシェーディングにするとか、ファイナルファンタジーみたいなCGだと本作も気持ちよく観られるのにとも思う。あーもう、それではこれまでの曽利監督の取り組みが無駄になってしまう。。。表情が少なすぎるのが原因なのか? 顔はモーションキャプチャしてなさそうだし。ちなみに将来この手の3Dアニメが量産されるようになれば、その違和感もなくなるのかも、とも思う。まだまだ未完成なのだろう。がむばれ曽利監督!


ところで『EX-MACHINA』はもうちょっと不自然さがなかった気がする。なぜか?純粋には同システムを使っているのではないのか?ジョン・ウーの魔術か?



初めて観る人には驚愕の映像。あの人物造形に違和感を感じなければ話もよくできているし非常に良質のアニメに感じられると思う。しかし個人的には本作を観るよか「2001夜物語」を読んでもらった方がウレシイ。。次は第18篇「緑の星のオデッセイ」の映像化希望。


評価:★★☆☆☆


「共生惑星」の方が平野綾効果であきらかにたくさん借りられてましたw


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