先日の台風10号による被害で、JR日高線の慶能舞(けのまい)川橋梁(豊郷~清畠)が流失してしまいました。
日高線は2015年1月に厚賀~大狩部間で高波による土砂流出、その後も被害が拡大して鵡川~様似間が運休となっていました。JR北海道は、今後も同じような被害を出さないために完全復旧をさせる場合、57億円も費用がかかると試算(護岸対策が約42億円、斜面対策が約15億円)。また、必要最小限の修繕にとどめた場合(現場は25km/hの徐行運転となる)でも26億円(護岸対策が約24億円、斜面対策費が約2億円)かかるとし、JR単独での復旧を事実上放棄。沿線自治体に費用の一部負担を求めてきたが、過疎化が進む地方の自治体にとっては「はいそうですか」なんて言えるはずもなく、ほとんど歩み寄る事なく1年半が過ぎていた。そこへ来て今回の台風被害。昨日も現場を通ったが、仕事に向かう最中だったので横目で見ながら「うわぁ…」と言葉を失っていた。今日は午前中で仕事が終わったので、現場に行ってみた。
慶能舞川橋梁は7連のデッキガーダー橋梁だったが、様似側の2連を残して5本の橋桁が流失してしまった。
しかし全て上流側に残っていて、国道235号の慶能舞橋との間に4本、慶能舞橋のさらに上流側に1本が残っていた。
橋桁は全て上下逆さまになっていた。
3番桁は、ねじれて歪んでしまっている。
橋の様似側の築堤は、鋼矢板の保護が切れた場所の土砂が流出し、線路が一部浮いてしまっている。
用水路のコンクリートも流出。
ぐにゃりと曲がったレールが土砂の中に消えている。
橋桁ごと上流側に持って行かれたレールはこんな状態に。
この辺りのレールも本来の位置からズレている。
波は鋼矢板を乗り越え、築堤の土砂も押し流してしまった。
自然の威力をまざまざと見せつけられる光景。ちなみに国道のダンプカーは災害復旧ではなく、日高自動車道の工事のダンプ。
被害は橋梁だけではなく、土砂の線路内流入もある。
清畠~厚賀間では何箇所かでこのような光景が。
まずは道路の復旧が最優先なので、運休中の日高線は手つかず。って言うか、もしかしたらこのまま廃線なのかなぁ…
もうこれ以上、鉄路を傷めつけないで!
日高線復旧の糸口もつかめない状況が続く中、さらに追い打ちをかけるような自然災害。同じく橋梁が流失した根室線は特急も走る大動脈。JR北海道は復旧に全力を注ぐだろうけど、日高線は「これで、さらに廃線に向けた口実が出来た」とでも思っているに違いない。また、沿線住民の中に「もうさすがに復旧は無理だろう」という感情が広まってしまうのもネガティブな要素だよなぁ…