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旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

僕たちの青春はちょっとだけ特別

2025-03-19 17:19:30 | 図書館はどこですか



朝日新聞紙上の書評を参考にしてお借りしたのが、「僕たちの青春はちょっとだけ特別
/雨井湖音(あまい こおと)著」です。『学園ミステリ大賞』を受賞した作品とのこと。

ところが読み進めても一向にミステリーっぽくなってこず、たしか「ミステリー」の
カテゴリー内で紹介していたはずだよなあ、思い違いだったかも…とだんだん自信を
失う始末です。このところ私が積極的に読もうとするのは、ほぼすべてミステリーに
絞り込まれているのにねえ。

主人公・青崎架月(かづき)が高等支援学校(特別支援学校)に入学するところから
物語は始まり、多くの出来事が彼の視点を中心に展開、描かれます。新たな学校での
新しい生活、学習、そして一からつくり上げなければならない同級生や先輩、先生ら
との人間関係などなどが、フレッシュかつ繊細なタッチで描写され、淡々と物語は
進行しながらも読みごたえがあり、やがて、別にミステリーでなくても面白いから
いいかなと思い始めた頃学校内で事件が発生、探偵役を担う架月は仲間らの手を
借りつつ解明に尽力します。学園ミステリーものは多々あれど、支援学校を舞台に
したミステリーはおそらくは珍しく、「ちょっとだけ特別」なのかもしれません。

彼らは皆、何らかの軽度の知的障害を持ち、しかしその程度や内容が各々異なっていて、
そのため行き違い、コミュニケーションがうまくとれず、誤解が生じることも多々あり
ます。ですが、ひとつの事件を解決するたび彼らはお互い理解を深め、少しずつ成長
するのです。自分の気持ちをうまく表現することが苦手な彼らは戸惑い、不意に傷つき、
また思いがけず不用意に相手を傷つけることもあります。こちらもつられてハラハラ
ドキドキ、彼らの日常そのものが波乱含みで、その相乗効果が謎解きをいっそう盛り
上げていることに気づいたのは、読み終わってからでした。

コメント
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