活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

技術者としての想い■はやぶさトークショー 第1回 「はやぶさを支えた人たち」 (その2)

2010-09-25 00:01:36 | 宇宙の海


はやぶさを支えた人たち
開催日時:2010年9月18日(土) 14時~ 約2時間
会場:大阪市阿倍野区民センター B1ホール
主催:和歌山大学宇宙教育研究所、大阪市立科学館
協賛:NEC
出演者(五十音順):飯山青海(大阪市立科学館学芸員)
小笠原雅弘(NEC宇宙航空システム株式会社)
尾久土正己(和歌山大学)
矢野創(JAXA)

(※ はじめに
   講演会冒頭で、司会の尾久土先生、ならびに話者の小笠原氏より
   講演内容についてはブログにUpしないでとのお話もありましたが、
   講演終了時に個別に伺い、掲載OKのお言葉を頂戴しております。
   
   どのブログも好意的に取り上げてくれている。
   不特定多数の前で話しているのだから、どんな形であれ情報が
   ここから伝播発信していくことは止められない。
   そもそも、本当に危ない情報は、さすがにこうした場では話して
   いない。

   というのが、その際に伺ったコメントです。

   そのお言葉を裏切らないよう、これからも品位と節度、敬意を
   もってご紹介していきたいと思います。

   万一、お気づきの点があれば、ご指摘いただければ幸いです。)
   2010年9月25日 追記


■技術屋としての想い

さて。
随所に笑いをちりばめてと言われましても、私は東京人なので、
なかなか…と、謙遜の前フリから始まった小笠原氏のトーク。

実は、氏の講演を聞くのは、これが2回目である。

1回目は、今年の7月8日。大阪ビジネスパークにあるNECビルにて
NECの企業セミナーの中のヒトコマとして開催された講演を聴講させて
いただいた。


このときは。
スーツ姿のビジネスマンが、腕組みをして講演を聞いている中で。
一人、必死でメモを取って周囲から訝しがられている僕がいた(w。


その講演が、本当に面白かったので。
今回も、とても楽しみにしていたのである。

前回講演レポは、こちらで。全10回に分けて収録しています。

#途中。当の小笠原氏からコメントを頂いたときは…
 「嬉しかったですね~」♪


閑話休題。
今回の講演は、あの5年前の11月26日。
そう、はやぶさのイトカワへのタッチダウンから幕を開けた。

1996年から、はやぶさプロジェクトに携わってきた氏に取って。
はやぶさが、小惑星イトカワへのタッチダウンを成功させたということは。

 「私たちの想いと技術は3億Km先の『はやぶさ』に届いていた」

という言葉に凝縮されていた。

そして。
そのあと、氏の口から紡がれた言葉は、僕を驚愕させた。

氏は、あのタッチダウンの成功のあと。

 (もう、これで十分)

と思っていたのだそうな。


無責任な門外漢からみれば。

 「這えば立て、立てば歩めの‥」

ではないが、一つの目標をクリアできれば、ついその先を希求したく
なるものではあるが。

MUSES-Cとしてのプロジェクト発足当初から、はやぶさに
関わってきた氏にしてみれば。

ここに到るまでの道のりの長さ、そしてその四海荒波な状況を熟知
しているだけに。

上記のような感想へと、思い至ったのであろう。


この話を聞いて。
僕は、あるエピソードを思い出していた。

その昔。
「エースをねらえ!」のコミックの中で。

主人公・岡ひろみの試合での苦戦を見て、

 「ここまで頑張ったんだ。もういいじゃないか。」

と語った尾崎さんに対して。

藤堂さんは、

 「ここまで頑張ったんだからこそ、勝たせてあげたい」

と応えていたシーンである。

(もう何十年も前の記憶なので。
 セリフも、喋ってた人もうろ覚えである。
 間違っていれば、ごめんなさい)


この問には。
どちらかに、優劣がつくというものではない。

ただ、はっきりと言えるのは。
そうした評価を下すことが出来るものは、当事者、あるいは当事者と同じ
くらいにその対象に対して打ち込んでいるものだけなのだろうということだ。



そうした。
技術者としての、想いを込めた言葉を枕とした後は。

はやぶさそのものの紹介が、進められていく。

JAXAの相模原キャンパスに展示されている、はやぶさの実物大モデル。
あの6月13日以降、多くの人が足を運び、見学していったこのモデル。

これを見て、子供達は一様に大きい!という感嘆の声を出すそうな。
それに対して、大人たちの反応は真逆で。
これが本当に7年間、60億Kmも宇宙を旅してきたのか?という顔を
浮かべる人が多いという。


確かに。
昨年、ミッションを終えて月面にその姿を隠したかぐやは、本体重量が
約3トン。
一方、はやぶさは僅か510Kgに過ぎない。

はやぶさの実物大モデルを見学にきた人の中で。
そうした数値を知っている人が、どれくらいいるのかは分からないが。

はるか宇宙を7年間も旅してきたという事実を思えば。
軽自動車よりも小さなこのボディが、どれだけの偉業を成し遂げたのか
ということは容易に想像がつくところではある。


ちなみに、氏はかぐやを「メタボ姫」と称していた。
#姫=レディに対して、これは少し失礼なのでは?と思うw。



ここで、スライドははやぶさを下面から見た図へと替わる。

下部構造物において、NECが担当したものは。

・レーザー高度計

・ファンビームセンサ

・レーザーレンジファインダー

・ターゲットマーカー

の四つと紹介される。
(※ 個々のパーツの画像については、まっきーさんの「オタコト」に
   相模原展示の実物大モデルを撮影したものが掲載されています

このうちレーザー高度計は、HBTTEでも赤いビームがイトカワに
向けて放たれているシーンで有名であるが。

(画像提供 :JAXA)

実はこの装置。
”太ったおっちゃん”が担当していたが、ギリギリまでうまく動作せず、
出発の数カ月前になってようやく完成したとのことである。

技術者の端くれに身を置くものとして、完成検査の当日早朝まで必死に
検証を行ってきた経験を、当時かいた冷や汗と、無事に動作した安堵感
とともに思い出しながら、首肯する。


そして…。
ターゲットマーカー。

(画像提供 :JAXA)

これを開発するときに。
氏が(か、NECが、かは微妙だけれど)が、川口PMより示された
要件定義は、以下のとおり。

 「40m上から落としても跳ねないものを作ってくれ」

普通は要求仕様書があり、そこに示された詳細な設計条件等を確認して
から設計に入るのに、明示されたものはこれだけ。

途方に暮れた氏は。
跳ねない球状のお手本をお手玉に求めてユザワ屋に行き、実際に触って
製品化のイメージ研究をしたそうな。


そうした研究の大変さ、楽しさを。
技術畑で広報畑を務める氏としては、もっとアピールしたい。

そんな中、はやぶさに世間の注目が集まってきたことを受けて。
NECでも、急遽企業ホームページにはやぶさの特集を設けることを
決定。

(この企画が時流に乗って、企業HPとしては空前のヒット数を
 たたき出したことは、前回の講演レポに記述した


その、NECのはやぶさ特集ページについて。

氏は、ここであるエピソードを紹介してくれたのだが、それは次号にて。

(この稿、続く)


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