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壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

気比

2011年10月17日 21時26分19秒 | Weblog
          気比の海
        国々の八景更に気比の月     芭 蕉

 観念が実体の支えを持っていない。八景のケイと気比のケイとが韻を踏んでいる作為的な発想だと思う。そのため極めて感動が弱い句になってしまった。

 「気比の月」は、気比の海にさす月の意味。「気比」は古の「笥飯(けひ)」で敦賀の古名だった。笥飯浦(気比の浦)は今の敦賀湾をさす。ここは前書から見て敦賀の海岸という意で、気比の松原あたりの海の景であろう。

 季語は「月」で秋。この「月」は実体を生かしていない。

    「近江八景などのように、国々にすぐれた景は多いが、更にそれに加えて、
     この気比の海の月は落とすことのできない景というべきだ」


      鰯雲さかなぎらひに風の吹く     季 己