会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

会津八一 788

2015-07-15 19:55:13 | Weblog
銅鑼(第3首)            解説

 ひとつき の うまさけ くみて はる の よ を 
            すずろに ときし なら の ふるごと

    (ひとつきのうま酒汲みて春の夜をすずろに説きし奈良の古事)  


会津八一 786

2015-07-13 22:27:00 | Weblog
銅鑼(第1首)          解説  
はじめて草盧に奈良美術研究会を開きしより今にして二十年にあまれり身は遂に無眼の一村翁たるに過ぎずといへども当時会下の士にして後に世に名を成せるもの少からずこれを思へば老懐いささか娯むところあらむとす

 くさ の と に こもごも のき の どら うちて 
            とほく とひ こし わかびと の とも

        (草の戸にこもごも軒の銅鑼打ちて遠く訪ひ来し若人の友)  

会津八一 785

2015-07-12 20:17:50 | Weblog
     会津八一 寒燈集・銅鑼(五首)  昭和二十年三月

銅   鑼 「下落合秋艸堂に16年住み、昭和11年に目白文化村秋艸堂に移った。
      その下落合秋艸堂を回想して詠んだ閑庭・45首に続いて、同じ秋艸堂
      で開いた奈良美術研究会にちなんで詠んだ5首である」  

1 銅鑼(第1首)
はじめて草盧(そうろ)に奈良美術研究会を開きしより今にして二十年にあまれり身は遂に無眼(むがん)の一村翁たるに過ぎずといへども当時会下(えげ、えか)の士にして後に世に名を成せるもの少からずこれを思へば老懐いささか娯(たのし)むところあらむとす
     草盧  草で作った小さな家、草庵。自分の住居をへりくだっていう語。
      無眼  目が無いことから転じて無知であること。
      会下  門下
     
    くさ の と に こもごも のき の どら うちて 
                 とほく とひ こし わかびと の とも        
2 銅鑼(第2首)
    うらわかく さい ある ひと と まどゐ して 
                 うまらに くひし そば の あつもの
3 銅鑼(第3首)
    ひとつき の うまさけ くみて はる の よ を 
                 すずろに ときし なら の ふるごと      
4 銅鑼(第4首)
    くり ひらく ふるき ゑざう に かたむきて 
                 まなこ あつめし よひ の ともしび
5 銅鑼(第5首)
    あをによし なら の みてら の ふるがはら 
                 たたみ に おきて かたりける かも    

会津八一 782

2015-07-09 19:26:49 | Weblog
閑庭(第43首)          解説

 たれこめて ねむれる あさ を ね も さやに 
           むかひ の をか に もず なき しきる

    (たれこめて眠れる朝を音もさやに向かひの丘に百舌鳴きしきる)  


会津八一 781

2015-07-08 20:09:52 | Weblog
閑庭(第42首)           解説

 たび ゆきて かへれば かど に たかき ひ を 
           みみ に したしき かひどり の こゑ

         (旅行きて帰れば門に高き日を耳に親しき飼鳥の声)  


会津八一 779

2015-07-06 20:08:38 | Weblog
閑庭(第40首)          解説

 ゐどばた の はち を こちたみ いくとせ を 
           ぶだう の ふさ の いまだ にほはず

       (井戸端の蜂をこちたみ幾年を葡萄の房のいまだにほはず)  


会津八一 778

2015-07-05 20:05:30 | Weblog
閑庭(第39首)          解説

 たち いでて みづ くむ さよ の ともしび を 
           はち の かすむる ふるゐど の はた

      (立ち出でて水汲むさ夜の燈火を蜂のかすむる古井戸の端)  


会津八一 777

2015-07-04 20:05:28 | Weblog
閑庭(第38首)         解説

 のき の は に かかれる むべ の しげりは の 
              おと も さやかに あきづき に けり

    (軒の端に掛かれるむべの繁り葉の音もさやかに秋づきにけり)  


会津八一 776

2015-07-03 20:05:31 | Weblog
閑庭(第37首)           解説

 かきもと の たに の さはべ の ほたるび の 
            このごろ とばず とき さり に けり

        (垣もとの谷の沢辺の蛍火のこの頃飛ばず時去りにけり)  

会津八一 774

2015-07-01 19:32:40 | Weblog
閑庭(第35首)         解説

 やねうら の ねずみ しば なく くちなは の 
           うかがひ よる か あけ やすき よ を

     (屋根裏のねずみしば鳴くくちなはの窺ひ寄るか明けやすき夜を)